「て、敵、戦線突破をしました。」
入る報告は絶望的なもの。
それを、知らせる通信兵の顔色も悪い。
いくら策があると知らされていても味方の不利を伝えるのはいつでも嫌なものだ。
「第七装甲師団に連絡。事前の打ち合わせどうりに頼む、と。」
答えるこえは自信にあふれるもの。指揮官がうろたえないのがわかると通信兵は落ち着いて答えた。
「はっ、・・・第七装甲師団のロンメル将軍から電報。『我、敵撃墜セン』」
「・・・ロンメルの奴、やる気満々だな。」
指揮官は呆れたようにつぶやくがその自信に満ちた返事に司令部に活気が満ちる。
しばらくして横に控えていた副官らしき人物が話しかける。
「しかし、この作戦はネウロイ戦に有効だと証明されましたね。ええと、なんといいましたっけ?」
「機動防御だよ。トレスコウ。」
「そう、機動防御です。これは素晴らしいですよ。ウィッチに頼らずにネウロイを撃破できる可能性があるなんて。」
「そんなもn・・・ッ!」
味方から地面を揺らさんばかりの歓声が聞こえた。状況から、敵ネウロイを撃破したようだ。
「ロンメル将軍からの電報。『我、敵撃墜セリ』」
「やったようですよ!マンシュタインさん!!」
「・・・ああ、そのようだな。・・・すまないが、トレスコウ。ちょっと一人になりたい。少し歩いてくる。」
「え、ええ。わかりました。」
副官の不思議そうな声を無視して司令部から出ていく。
「ウィッチに頼らない、か。これからどうなるんだろう。くそ、史実どうりなら、なんとかなりそうなのに。」
この世界のだれが聞いても理解できないであろうつぶやきはあちこちから聞こえる歓声にかき消された。
そう彼の名前は『エーリッヒ・フォン・マンシュタイン』
史実ではドイツの第二次世界大戦期の陸軍元帥であり、同時代の最も有能な将帥の一人として知られている。
そして、この世界<ストライクウィッチーズ>ではカールスラントの軍人であり、
「どうすんだよ。ストパンに転生したって男だと何にもできないじゃん。」
そして転生者だった。
side マンシュタイン
最初自分の名前を聞いた驚愕は、もう一回転生するぐらいだった。
だって『エーリッヒ・フォン・マンシュタイン』ってドイツじゃかなり重要だし。
転生についてなんとか納得したところの追い打ちは電撃戦を仕掛けられたソ連の気持ちがわかったような気がしたぐらいだった。
(厳密には養子に出されたらしい。)
転生とマンシュタインについてもようやくどうにか納得したところで、父親と養父の話聞いて卒倒した。
「~まかせたぞ。立派なカールスラント軍人にしてくれ。」
うえええぇぇぇぇえぇぇぇ!?!?
ちょ、あれだろ?カールスラントってパンツ丸だしアニメだろに出てくる国だろ!?
そして、国土をネウロイとかいう異形の敵に侵攻されちゃうような国の軍人(しかもウィッチじゃない)とか死亡フラグ立ちすぎだろ。
それって地雷原を全力疾走するぐらいやばくね!?
だから原作だと出てこないのか。死んだのかマンシュタイン。好きだったのに。
伍長閣下も好きでした。ただしゲーリングてめぇはだめだ。
こうしてにこやかに自分の未来について話す二人を無視しながら未来の智将(予定だった)は現実逃避をしながら決意する。
(絶対生き残ってやる。そして生パンを見てやる。)
そんな彼の決意はダメだった。
あとがき
ということで女性が出ない誰得ストライクウィッチーズの二次小説でした。
知ってるよ。ネウロイが通常兵器じゃほとんど撃破出来ないって。
だけど、マンシュタインとジューコフ、アイゼンハワーの共演が妄想したかったんだよ。
男だって頑張っていると主張したかったんです。
ではここまでありがとうございました。