【インタビュー】電子マネーはリアル志向 Edyの普及はバーチャル/リアルの壁を越えるのか(1)
2002/09/10
ビットワレットが運営するプリペイド型電子マネーサービスが「Edy(エディ)」だ。非接触型ICチップ搭載カードを使用した小額決済に適したサービスとして、徐々に利用者を増やしている。最近ではコンビニエンスストア am/pmでの買い物・入金も可能になり、8月にはUFJやライフなど信販系カード会社7社がEdy機能をクレジットカードに搭載することを発表するなど、急速に露出を高めてきた感がある。
これまで電子マネーといえば、オンラインでのみ完結するものというイメージが強く、なかなか具体像がイメージしにくいものであったが、Edyはコンビニエンスストアという店舗数の多い実在店舗に積極的に進出、その存在をユーザーにとって身近なものへとすることに成功しつつある。
ビットワレット 執行役員 企画部 統括部長の宮沢和正氏 |
同社 執行役員 企画部 統括部長の宮沢和正氏に、なぜ「リアル/サイバーの両用に使える非接触ICカード」というコンセプトでEdyをスタートさせ、これからはどのような方向性で普及を図っていくのか、お話を伺った。
○どうしてEdyはスタートしたのか
--プリペイド型の決済手段としては、ネット決済専用ですが、Webマネー(
2001年1月の会社を設立したわけですが、会社設立前の1999年から大崎ゲートシティ(ビットワレットの所在地)を中心にトライアルは行っていました。これはキャッシュレスの空間を作ろうという趣旨のもので、約13,000人にカードを持ってもらい、40の店舗や125台の自動販売機でEdyを使えるようし、反応を確かめたのです。そこで、1年の間に約100万回の利用実績(トランザクション)を上げるなど、実用化に向けた好感触を得ることが来ました。
実用化に向けて考えたことは、ユーザーの利便性のため出来る限り方式を統一し、「あの店では使えるけれど、この店では使えない」という事態をなくそうということです。そのため、ソニーだけではなくさまざまな業界に声をかけ、結果、NTTドコモや三井住友グループ、トヨタ自動車など幅広い業界の支持を得てスタートすることができました。
--プリペイドサービス自体はこれまでにも多く提供されていたと思いますが、どういった点が、1年間で100万回トランザクションという結果に結びついたと思われますか?
やはり、非接触という技術を採用したことによる利便性だと考えています。非接触IC型であるから、決済スピードも速く、一瞬で支払いが済む。そういった利便性が受け入れられたのだと思います過去の電子マネーと比べて一番大きな点はやはりそこだと思います。
また、クレジットカードと異なり、カードを店員に渡す必要がないという安心感、ICカードであることから非常に偽造が困難であることも大きなメリットであると思います。あと、小銭が必要ない、たまらないというのもメリットではないかと思います。事実、ここ(大崎ゲートシティ)で実証実験を行った際にも、「気軽に使える」という点が高く評価されました。
○リアル/サイバーで使える安心・簡単な決済手段を
--実際の店舗で使う際には、「利便性」や「安心感」がユーザーメリットになる訳ですが、オンライン決済に使用する際のユーザーメリットはどのような点なのでしょうか?
オンライン決済に関しては、実店舗での実験より後、2001年3月から実験を開始し、2001年11月から本サービスを開始しました。これまで、オンライン/オフライン両方で気軽に使えて、なおかつセキュリティ的にも安心できる決済手段は無かったので、Edyを立ち上げる際から、オン/オフラインの双方で使える決済手段としたい意向はありました。
現在では、オンラインの支払いにクレジットカードを使う場合が多いかと思いますが、使用時には大事なカード番号を入れざるを得ないですし、名前や有効期限の入力など、手間もかかります。
「実際の店舗で入金して、オンラインコンテンツの購入に使う」「オンライン上で入金して、実際の店舗での支払いに利用する」など、利用形態がバリエーション豊かであるのはメリットであると思います。入金に関しては、現在はam/pmの店頭で入金できるようになっていますし、PCに接続するカードリーダーを用意すれば家庭でも入金可能です。ユーザーを見ていると、オンラインで入金して、オフラインで使うという利用形態が多いようですね。
上限を50,000円としたのは、コンビニエンスストアやコーヒーショップなど、小額ながらもリピート性の高い店舗で利用頻度が高いことが分かったからというのも理由のひとつです、また、Edyには匿名性があり、誰が使ったのかが分からないようになっていますので、万が一紛失したり、盗難されたりしても被害が小さく済むようにという考えもあります。
○なぜ非接触ICチップを採用したのか
--店頭ではとにかく、家庭で決済処理を行うためにはカードリーダーが必要です。便利だと頭では分かっていても、利用するために機器を購入しなくてはならないとなると、ユーザーを利用にと踏み切らせるのは容易ではないはずです。そうした困難があることを分かっていながら、なぜ、ICチップ搭載のカードを採用したのでしょうか。
オン/オフラインで使用するためには何らかの価値を入れる入れ物が必要で、その上、オフラインで使用するときにはそのカードにいくら入っているのかなどの情報を素早く、カードと処理端末の間でやりとりしなくてはなりません。その処理を行うためにはICチップはどうしても必要だったのです。磁気カードでは偽造の心配もあるので、そういった意味でもICチップは必要だったのです。
ICチップ方式を採用することによって、カード以外の利用形態が開けたことも大きなメリットです。実際、香港では腕時計にICチップを埋め込んだものが利用されていますし、時計のみならず、携帯電話、PDAなどさまざまなデバイスに決済機能を持たせることができるようになります。
課題としては、ICチップを読み込むための端末をどれだけ普及されることができるかという点があります。ハードルとなってしまうことは確かですが、乗り越えてしまえば大きなビジネスになると確信しています。
--以前、VAIO Wにカードリーダーをセットしたモデルが登場したことがあると思いますが(2002年春モデル)、反応はいかがだったでしょうか
正直、時期が早かったですね(笑)。am/pmでのサービスが開始されたのが今年の7月ですから、VAIO Wを購入したユーザーが入金してみてもなかなか実際の店舗で使用できなかったのではないかと思います。利用可能な店舗も増えましたし、利用はこれから増えるのではないかと期待しています。
【インタビュー】電子マネーはリアル志向 Edyの普及はバーチャル/リアルの壁を越えるのか(2)
に続きます
(渡邊宏)
ビットワレット
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