松本龍環境相は12日の閣議後記者会見で、水俣病の原因企業チッソ(東京)が、水俣病被害者救済法に基づき、会社を補償部門と事業部門に分社化することを盛り込んだ事業再編計画を同日夕、環境相に提出する、と明らかにした。
チッソが10月20日に公表した計画案の概要によると、好調な液晶などの事業部門を子会社化し、補償部門を担う親会社が、子会社の株の売却益などを被害者補償にあてる。環境相は計画内容を精査した上で認可を判断。会見で松本氏は「予断を持たずに(計画を)見る。すべては見てから判断、検討する」と述べ、認可する場合のポイントや不十分なときの対応などへの言及は避けた。
計画案の概要について、チッソは2週間意見募集を行ったが、分社化が加害企業の免責につながりかねないと懸念する被害者サイドは「意見の募集期間が短く、計画案には被害者の意見も反映されていない」と反発。熊本県水俣市も同社に対し、投資や雇用の見通しを具体的に数字で示すことなどを求めた意見書を提出している。
=2010/11/12 西日本新聞=