為替介入:経済界から歓迎の声 一層の対策、政府に要求

2010年9月15日 20時56分

 政府・日銀が15日、東京外国為替市場で円売り・ドル買い介入に踏み切ったことについて、急速な円高による業績悪化に警戒感を強める経済界からは「日本経済再建に向け、政府が積極的に行動していこうとする姿勢の表れ」(日本貿易会の槍田松瑩会長=三井物産会長)と歓迎の声が相次いだ。ただ、介入で為替相場が約15年ぶりの円高水準の1ドル=82円台から85円台に円安に振れたものの、各企業の想定為替レート(大半が1ドル=90円程度)となお開きがあり、経済界は再介入も含めて引き続き円高対策を徹底するように政府に求めている。

 日本商工会議所の岡村正会頭は15日の定例会見で介入を「適切な処置」と評価したうえで、「早い時期に1ドル=90円台に戻すという覚悟が必要ではないか」と指摘。会員の中小企業の立場を代弁し、政府・日銀に円高是正への更なる対応を求めた。

 一方、日本証券業協会の前哲夫会長も会見で「1ドル=85円が円安と言えるかどうか。株式市場の活性化には一層の円安が望ましい」と注文。日本船主協会の宮原耕治会長(日本郵船会長)は「(日本経済の実態を考えれば)1ドル=100円が妥当」と具体的な水準をあげて、政府の一段の円高是正の取り組みに期待を示した。

 経済産業省が8月に実施した緊急調査によると、1ドル=85円の円高水準が続いた場合、製造業の約4割が「生産工場や開発拠点を海外に移転する」と回答。輸出企業の多くは10年度の想定為替レートを1ドル=90円程度に設定しており、円高進行や長期化は企業業績悪化に加え、産業空洞化への懸念も出始めている。【宮崎泰宏】

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