円高:6年半ぶり為替介入 85円台に急落

2010年9月15日 11時24分 更新:9月15日 13時34分

東京市場で15年ぶりの高値を記録した直後、市場介入により一気に84円台まで円安に戻した円相場を示す画面=東京都港区の外為どっとコムで2010年9月15日午前10時49分、手塚耕一郎撮影
東京市場で15年ぶりの高値を記録した直後、市場介入により一気に84円台まで円安に戻した円相場を示す画面=東京都港区の外為どっとコムで2010年9月15日午前10時49分、手塚耕一郎撮影
為替介入を発表する野田佳彦財務相(中央)=東京・霞が関の財務省で2010年9月15日午前10時50分、久田宏撮影
為替介入を発表する野田佳彦財務相(中央)=東京・霞が関の財務省で2010年9月15日午前10時50分、久田宏撮影

 政府・日銀は15日午前、外国為替市場で円売り・ドル買いの為替介入を断続的に実施した。円売り・ドル買い介入は04年3月16日以来、6年半ぶり。介入規模は明らかにしていない。円相場は15日の東京外国為替市場で一時1ドル=82円86銭と95年5月下旬以来、約15年3カ月ぶりの円高水準まで急騰したため、輸出企業をはじめとする国内産業に与える打撃が大きいと判断した。米欧通貨当局との協調はなく、日本単独で実施した。

 野田佳彦財務相は同日午前に会見し、「足元の動きは経済や金融に悪影響を及ぼし、看過できない。過度の変動を抑制するために介入を実施した。引き続き、動向を注視しながら必要な時は介入を含めた断固たる措置を取る」と述べた。一方、日銀の白川方明総裁は「為替市場における財務省の行動が、為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している」との談話を発表した。

 政府は介入額を公表し始めた91年度以降で累計64.5兆円の円売り介入を実施しており、03年度に32.9兆円を実施した後は、実施していなかった。

 東京外国為替市場の円相場は15日、一時1ドル=82円86銭まで急騰した後、政府が円売り介入を実施した午前10時半過ぎから数分の間に1円近く急落した。午後1時15分ごろには1ドル=85円00銭まで2円以上も円安に戻した。市場では午前10時ごろ、日銀が介入に備えて金融機関に取引水準を聞く「レートチェックが行われた」との観測が流れていた。円は対ユーロでも売られ、午後1時時点で前日午後5時比2円64銭円安・ユーロ高の109円97~99銭で取引された。

 東京株式市場は外為相場が円安・ドル高方向に動いたことを受けて反発、日経平均株価は午後0時40分時点で、前日終値比241円52銭高の9540円83銭となった。

 14日の民主党代表選で、市場から「為替介入に消極的」とみられていた菅直人首相が再選された直後、東京外為市場では円相場が1ドル=83円09銭まで上昇。その後のニューヨーク市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加緩和の観測が浮上したことを受けて、ドルが円やユーロなど主要通貨に対して大幅に売り込まれた。

 米議会が15~16日に人民元に関する公聴会を開くのを前に、中国人民銀行(中央銀行)が人民元相場の対ドル基準値を、人民元を切り上げた05年7月以降の最高値に設定。「中国は元高容認」との見方が強まったことも、アジア通貨の一角として円を買う材料となり、円相場は一時1ドル=82円92銭まで上昇。15日の東京外為市場でも「ドル売りの流れは当面続く」(邦銀)との見方から、円相場が急騰していた。【坂井隆之、清水憲司、ワシントン斉藤信宏】

 ◇ことば 為替介入

 通貨当局が外国為替市場で、相場に影響を与えるために、通貨間の売買をすること。日本では財務相の権限で行い、その指示に基づいて日銀が実務を担う。対ドルでの急激な円高の是正を目的とする場合には、当局が市場で円を売ってドルを買うため、「円売り介入」と言われる。

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