メディカルプラス 気を付けたい病気と治療 この症状にこの医療機関 体の気になる症状をチェック 豊島区版 歯科編

【監修】日本歯科大学教授 渋井 尚武

歯で食べものをよくかむことは、食事を楽しむためだけではなく、全身の健康にも重要といわれています。快適な食事に必要な歯の本数は20本とされ、それより少ないと、ものをかみ砕くのに支障が生じることがあります。歯の健康を維持するためにも、少しでも悩みがあれば、それに対応できる歯科医院に相談しましょう。


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1

歯が痛い / 冷たいものが歯にしみる


虫歯の疑い

虫歯菌によって歯が溶かされる虫歯は、初期のうちは歯の表面に浅い穴が開く程度で、痛みもほとんど感じません。ある程度深くまで進行すると、冷たいものや甘いものを食べたときなどに痛みを感じます。さらに放置すれば歯の神経まで進行して激痛を感じるようになり、そのうち歯の表面が崩れてしまいます。治療は、一般的に虫歯部分を削って詰め物でふさぎますが、進行したものは歯の神経や歯そのものを抜かなければならない場合もあります。早期に治療すれば歯を削る量も少なく、治療時の痛みもほとんどないので、早めに歯科医院を受診しましょう。既に治療を終えた部分でも、詰め物が緩んでできたすき間などに再度虫歯が発症することがあるので注意が必要です。

虫歯の進行過程




虫歯は、放置すると少しずつ深くなっていきます。(2)まで進行すると痛みを感じ、(3)まで進行すると激痛を生じて歯髄を抜くことになります。さらに進行すると歯の表面が崩れてしまい、場合によっては抜歯が必要です。

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2

歯を失った / 今の入れ歯が合わない


義歯治療を受ける

部分入れ歯と総入れ歯があり、材料や作り方で入れたときの感覚が異なります。材料・技術が制限される保険診療の入れ歯と、多様な設計が可能な自由診療の入れ歯がありますので、歯科医師に相談し、生活に合う入れ歯を選びましょう。

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3

より本来の歯に近い形で失われた歯を補いたい


インプラントによる治療を受ける

現在では、失われた歯の部分に人工歯根を埋め、それを土台に人工の歯を固定する治療で歯を補うことが可能です。人工歯根は骨と強く結合する材質が使われており、あごの骨にしっかりと固定されます。これにより硬いものもかめて、本来の歯に近い感覚で食事を楽しめる上、隣の歯に負担をかけずにかみ合わせを維持できます。費用はすべて自己負担になりますが、正しい手入れを行えば何度も治療しなおすこともなく、快適に食事ができます。

治療は時間をかけて段階的に行います。カウンセリングや診断をもとに立てた計画に従って人工歯根を埋め込む手術を行い、数カ月を経て人工歯根と骨が結合してから人工歯を装着するという流れが一般的です。人工歯根は口腔の状態によって入れられないことがあり、治療後も定期的なメンテナンスが必要になります。手術を伴い、長期間の治療になるため、信頼できる歯科医師を選び、しっかり相談してから治療を受けるとよいでしょう。

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4

歯が黄ばんでいる / 歯を白くしたい


ホワイトニング治療を受ける

クリーニングとは異なり、歯そのものを白くする治療で、たばこや加齢などで変色した歯を白くできます。自宅で歯に薬剤をつける治療と、歯科医院で色素を分解する光を歯に当てる治療があります。患者に合わせて使い分けたり、併用したりします。

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5

欠けた歯を治したい / 歯の形を整えたい


審美治療を受ける

歯の形はプラスチックやセラミックを貼り付ける治療で整えられます。欠けた歯の修復だけでなく、歯の表面に貼り付けたり、歯全体を削って冠のように被せたりして、わずかにずれた歯並びや変形した歯のすき間を補正する治療もあります。

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6

歯並びが気になる / 歯並びを整えたい


矯正治療を受ける

八重歯、乱ぐい歯、出っ歯などのような乱れた歯並びを整えたり、あごと歯のかみ合わせを治したりするのが矯正治療です。実際の治療では矯正装置を装着して、正しい位置へ移動させていきます。装置は一般的に使われる歯の表面につけるワイヤーのほか、歯の裏側につけるものや、透明なマウスピースのような取り外せるタイプなどさまざまな種類があり、症例や患者の要望に応じて使い分けられます。治療期間は症例によって異なりますが、通常1〜3年かけて矯正します。

成人になってからでも治療は可能ですが、子どものときから治療すると、あごの発育を治療に利用できるため、より効率よく歯を動かせます。乳歯の段階であっても、指しゃぶりや爪かみのような歯並びに影響する癖を治したり、永久歯が正しい位置に生えるよう誘導したりすることが可能です。すぐに治療する必要がなくても、再来院するのに適切な時期を教えてもらえるため、子どものかみ合わせが気になったら、早めに専門の歯科医師に相談するとよいでしょう。

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7

歯ぐきが腫れる、出血する / 歯がぐらつく


歯周病の疑い

歯周病は、歯垢や歯石の中にいる細菌が歯の周囲組織に感染して炎症を起こす病気です。症状が進行すると歯を支える歯槽骨まで破壊され、最終的には歯が抜けてしまいます。歯を失う原因の中でもっとも多いといわれており、自然には治ることはありませんので、歯科医師による治療が必要です。初期の段階なら、歯の周囲の歯垢と歯石の除去を行えば、次第に炎症が治まってもとの状態に戻ります。症状が進行している場合は感染部分が奥深くまで及んでいるため、歯肉を切開して感染部分を除去し、周囲組織の回復を図ります。ある程度進行すると、治療しても完全に発症前の状態には戻らないので、早めに歯科医院を受診しましょう。

歯周病の進行過程




歯周病にかかると、歯肉の腫れや、血、膿が出るようになります。進行すると歯肉溝(歯周ポケット)が深くなり、4mm以上になると歯槽骨も溶けていきます。重度まで進むと歯槽骨がほとんどなくなり、歯が抜けてしまいます。

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8

子どもの歯を治療したい / 子どもの虫歯を予防したい


小児歯科で治療を受ける

乳歯は永久歯が正しい位置に生えるよう導く大切な役割があります。虫歯は放置せずに治療しましょう。小児歯科では通常の虫歯治療のほか、虫歯をできにくくするフッ素の塗布といった予防処置や食事指導なども行い、歯の健康を管理します。

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9

歯の病気を予防して健康な歯にしたい


定期検診・クリーニングを受ける

虫歯や歯周病は、正しい歯磨きを続けながら歯科医院を受診することで発症をほぼ抑えられます。歯科医院では、正しい歯磨きの指導や歯の定期検診に加え、歯磨きでは取りきれない歯石や汚れをとるための専門的なクリーニングも受けられます。

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10

体が不自由などの理由で歯科医院への通院が難しい


訪問歯科診療を受ける

要介護の方など、歯科医院への通院が難しい人の家へ訪問して歯科診療を行います。持ち運べる小型の医療器具を使うことで、外来とほぼ同等の治療が受けられるほか、専用の器具で汚れを取ることにより口腔内を清潔に保てます。

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