もう1つ目立っているのが海外ロケ。3月公開の『ホノカアボーイ』はハワイ。7月公開の『アマルフィ 女神の報酬』はイタリア。『サイドウェイズ』は米国と、海外で撮影された作品が多い。そこから見え隠れするのは、フジテレビの海外戦略だ。『サイドウェイズ』で外国人監督を起用し、米国でロケをしたのも、映画製作会社としてのフジテレビを、海外の映画会社にアピールする狙いがあると亀山氏は明かす。

『アマルフィ 女神の報酬』
『アマルフィ 女神の報酬』
監督:西谷弘/出演:織田裕二、天海祐希/配給:東宝/TOHOシネマズ スカラ座ほかにて全国公開中 (C) 2009 フジテレビジョン/東宝/電通/ポニーキャニオン/日本映画衛星放送/アイ・エヌ・ピー/FNS27社

 「日本でもそうですが、映画の情報が一番入ってくるのは、実は撮影所などの現場なんです。フジテレビのオフィスにいたって全然入ってきませんが、撮影所に顔を出すと、まだ発表されていない情報が次々と入ってくる。それはハリウッドでも同じ。なのに今までは海外戦略というと、本丸である上層部ばかりを攻めすぎていた。そこを変えて、現場から知ってもらおうと。今回『サイドウェイズ』で、現地スタッフ中心に約1か月のカリフォルニア・ロケを敢行したのも、そうした思いがあるからです。

 彼らスタッフが、別の現場で日本ユニット(日本での撮影)を必要としたときに、フジテレビに頼もうと思ってくれたり、評判を聞いたハリウッドメジャーが、日本の会社と組むならフジテレビと思ってもらえたり。そういう可能性もあると思う。大事なのは、うちが製作する映画のクオリティが、ハリウッドのスタッフの間で噂になっていくこと。こんなに安い製作費で、これだけのクオリティの作品を製作できる。そうしたアピールをしていきたいと思っています」

 すでに、手応えも感じている。

 「『アマルフィ』を海外の映画会社の会長に見てもらったときに、『幾らで作ったんだ?』と聞かれ、『この金額です』と答えたら、『それをハリウッドの上層部が聞いたらびっくりするぞ』と言われた。ハリウッド映画なら百億円以上もかかるような作品を、スケール感を保ちながら、向こうの人がビックリするくらいの製作費でフジテレビには作れる。そのことが伝わったと思います」

 海外戦略だけではない。ほかのラインナップからも、これまでのフジテレビ映画とは異なる野心的な試みが多く見られる。それはフジテレビが、これまで成果を挙げてきた製作手法から、次のステップへ進むためのマーケティングのようにも見える。

 「確かに今年は、すべてマーケティングも兼ねています。これまでに、人気ドラマの映画化や、人気小説やコミックの映画化という流れは作ってきました。だけど、映画オリジナル企画をヒットさせる流れは、まだ作れていなかった。そこで企画したのが『アマルフィ』で、オリジナルストーリーで作ると決め、開局50周年記念作品として、今年のラインナップの中心に据えたんです。オリジナルでヒットに導き、シリーズ化できるノウハウを持っていれば、原作がないときでも映画を作れる。それは大きな強みになりますから」

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