「『デスノート』はワーナー・ブラザースが、気持ちよく配給を引き受けてくれたことが成功につながったと思います。ですがその前に、ワーナーとは一緒に組んだことがありました。それが東芝、ワーナー、日本テレビの3社で作った映画会社トワーニだったんです。トワーニでは、『キューティーハニー』など4本の映画を作りましたがヒットに恵まれず、結局、発展的解消をしたのですが(笑)」
『僕の初恋をキミに捧ぐ』 監督:新城毅彦/出演:井上真央/配給:東宝/10月24日より全国東宝系にて公開(C)2009「僕の初恋をキミに捧ぐ」製作委員会(C)2005青木琴美/小学館 |
だが、このトワーニでの経験があったからこそ、人の輪が広がっていき、失敗の中から、ワーナーのようなアメリカに本社があるメジャースタジオの日本法人と組む場合に、何が大切かを学ぶことができたという。
「あの経験がなかったら、『デスノート』もどうなっていたかわかりません。制作会社のROBOTと組んだ『三丁目の夕日』だってヒットしましたが、その前には同じROBOTと一緒に作った『明日があるさ THE MOVIE』で体験した失敗がある。僕の場合、結構、失敗だらけで(笑)。大切なのは、そこから何を学び、どうやって人の輪を築き上げていくかではないでしょうか」
そんな奥田氏が、映画作りで大切にしているのが、末永く残る作品を生み出すこと。
「僕はもともと、『金曜ロードショー』とスタジオジブリの製作の仕事に携わっていて、ジブリの質と興行、両方を兼ね備えた映画作りの姿勢をずっと見てきましたし、影響も受けてきました」
『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』をはじめとするジブリのアニメ映画は、それぞれ2年おきに「金曜ロードショー」で放映され、20年の時を経た今もなお、輝きを失っていない。
「だからこそ、時代を超えて残る作品を作りたいと思っているんです。映画は、著作権が残り続ける70年もの間、会社のライブラリーにもなるし、テレビ放映などの形で利益を生み続けていけるもの。それに映画って、見る人の人生を変えたり、希望を持ってもらえるものでもあるでしょう。その瞬間だけ面白ければいいというスタンスではなく、時代を超えて愛される映画作りを目指していきたいですね」
(文:安部偲 MOVIE Collection[ムビコレ])