(CNN) 米政府高官は10日、中東イエメンに拠点があるイスラム過激派「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)掃討のため米政府が同国への無人機プレデターの派遣を拡大する計画があることを明らかにした。拠点探索に加え、ミサイル攻撃を実行する可能性もあるとしている。
無人機を増強させてAQAP拠点の捜索を加速し、イエメン当局による掃討作戦を支援するのが主な狙い。AQAP拠点や潜伏する戦闘員への米軍による空爆は過去数カ月間、居場所特定で信頼し得る情報がないため中断している。イエメン軍が今年実施したAQAPへの再三の攻撃で組織指導者が地下に潜行した他、イエメンが作戦の主導権を主張していることも影響している。
この米軍の空爆に無人機による攻撃が含まれているのかは明らかでない。米政府高官は、拠点などの探索で信頼出来る情報を入手すれば空爆を再開することも有り得ると述べた。
プレデターは探索機能の他、ミサイル攻撃能力も持つ。イエメンに現在配置される無人機の数は不明だが、運用は世界規模でテロリスト容疑者を追跡する米統合特殊作戦軍が当たっている。
イエメンのキルビ外相は先にCNNとの会見に応じ、米国がイエメン政府に無人機技術を供与していることを明らかにし、テロ組織掃討作戦はイエメン軍が実行しているが、米国からは潜伏先などでの情報提供があると語っていた。
イエメンでは10月下旬、同国発の米航空貨物大手UPSなどの荷物から爆発物が発見されるテロ未遂事件が発覚している。英国とアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで見付かった荷物の送付先は米国のユダヤ教組織だった。AQAPは11月初め、同事件への関与を認める声明を発表している。
米政府高官によると、この事件後、サレハ・イエメン大統領はテロ組織根絶で米国との情報共有強化などへの協力態勢を強めている。イエメンの首都サヌアでは米大使、米中央情報局(CIA)やイエメン情報機関の間で情報共有拡大の方策で1年近く協議しているという。イエメンは米国に対し作戦行動などでの裁量権の拡大も認めている。
ただ、サレハ大統領は、テロ組織掃討で米国の存在が目立てば国内に反発が強まることも懸念、作戦ではイエメン軍が前面に立つとの考えを示している。同時に、米国が約束した軍事装備品の供給を速やかに実施することも求めているという。