尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、主任航海士の男性海上保安官(43)が乗船していた神戸海上保安部(神戸市)所属の巡視艇「うらなみ」の船内の共用パソコンから、外部の記憶媒体に映像データが出力された形跡が見つかったことが11日、捜査関係者への取材で分かった。
主任航海士は警視庁などの調べに対し、「船内の共用パソコンから映像を入手した」と供述しており、分析結果と符合している。このため、警視庁は主任航海士が単独で情報を入手し、神戸市内の漫画喫茶から流出させた可能性が強まったとみて調べている。
別の海保職員も警視庁の調べに対し、主任航海士と同様に「うらなみ」の船内で同じ映像を見ることができたと証言していることも判明。こうした映像は現在、すべて消去されているという。海上保安庁はこれまで、映像は石垣海上保安部(沖縄県)で保管され、同海保の関係者だけが閲覧できたとしてきたが、この説明と矛盾することになる。海保は石垣海保だけを調査対象とし、ほかの管区での調査を行っていなかった。