韓国メーカー「LG電子」が、11月から日本のテレビ市場に再参入した。日本では馴染みが薄いが、LGはサムスン電子に次ぐ世界2位のテレビメーカー。2年前に一度、日本へ参入したものの普及せず撤退した。今回は、満を持しての殴り込みなのだが、反応は上々だ。
4日に予約を開始したビックカメラでは「感触がいい」という。
「有楽町など一部の店舗には製品が置いてありますが、立ち止まって見ている方、店員に話を聞いてパンフレットを持ち帰る方もいます。問い合わせも多く、予約も承っています」(広報担当者)
スッキリとしたデザインは日本向けに作られているという印象。22インチから55インチまで全10機種を投入、価格は8万円から48万円と日本メーカーと同水準というから強気だ。
LG電子の担当者は、「他社のテレビよりもフレームが細いため、画面の面積が広い。また、IPSパネルを使っているので、(日本メーカーの商品より)画質も技術も数段先に進んでいます。さらに、グローバルの面で実績を持っていますので、今回は自信があります」と、“5年以内に日本市場でシェア5%”を掲げリベンジに燃えている。
家電に詳しい経済ジャーナリストの大河原克行氏は、LGの戦略をこう評価する。
「ある程度高い年齢層には、やはりソニーやパナソニックのような日本メーカーは強い。主婦層も、リビングなど人目につくところには日本製のテレビを置く。しかし、若い人は日本製にこだわらない。彼らは10年後、家庭で家電の購入決定権を持つ世代です。LGは、先を見ていますね」
調査会社BCNのアナリスト・道越一郎氏もこう言う。
「韓国製に対する“安かろう悪かろう”というイメージは変わったように思います。若い人は、ブランドとか、昔はどうだった、どこの国だからということよりも、“デキがいいか”を見る。例えば、携帯電話。ドコモが出したばかりの韓国サムスン製のスマートフォン『ギャラクシーS』が国内売り上げで1位になってます。これはベンチマーク(指標)になります」
年末商戦でどんな結果が出るか。日本メーカーはウカウカしていられなくなった。
(日刊ゲンダイ2010年11月9日掲載)