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[24204] 状況開始!! 予科練青春記 【状況開始っ! 二次創作】
Name: すたーりん◆c86439d4 ID:0ec5a351
Date: 2010/11/11 00:17
pcゲーム 状況開始っ!【ジャンル 軍事学園恋愛アドベンチャー】
と言う作品の二次創作を書いてみました。
原作知識の無い軍事オタの少年があの非常識空間に突っ込むとどうなるのかがテーマです。

原作・公式設定等になるべく忠実に書いていますが、穴がある所等は独自解釈、独自設定で埋めています。

開始時期は原作開始の1年前(入科)なんで、学校に馴れるまでヒロイン・原作組との交流は待ってください。




[24204] 【プロローグ】憑依?入寮。
Name: すたーりん◆c86439d4 ID:0ec5a351
Date: 2010/11/10 07:22
「俺達ゃ歩兵の本領は!!朝から晩まで走ること!!」
「「「「「「俺達ゃ歩兵の本領は!!!あっさからばんまではっしるっこと~!!!」」」」」」

クソ暑い中、俺含む迷彩服の集団は隊伍を組んだままグラウンドをひたすら走る。

「雨も泥も潜り抜け!!敵を見つけて連発だ!!!!」
「「「「「「雨も泥もくっぐりぬけぇ!!敵をみっつけて連発だぁ~!!!!」」」」」」

ダルイ、足が痛い、胸も痛い、ああ早く終わらねーかな。
「よし、小休止!!!!5分後に整列。」
教官の一声に俺達は地面に倒れ伏した。

状況開始!!予科練青春記

西暦2010年、日本は近隣諸国と領土問題でトラブルになっている以外はおおむね平和だった。

「オイオイ、MAMORI売り切れかよ。しゃあねえな月間PAK買って帰るか。」
いつもの様に書店で雑誌を購入し、俺は家に帰った。母さんがパソコンの前で合格者発表を見ながら嬉しそうに言った。
「浩一!防大の一次試験通ったって!!あした学校で調査書請求しなさい。」
俺は先日、防衛大学校人文・社会学を受験したのだ。なんとか一次試験を合格し、二次試験に備えている。
俺は石破浩一。何処にでも居る、軍事オタの高校三年生だ。成績はというと英語以外は極めて優秀で皆勤。
二次試験までに小論文と面接の練習しておかないとなあ。自衛隊とはこういう組織だ。

日本の国防組織「自衛隊」憲法では戦力とされず警察力とされている。最高指揮官は内閣総理大臣。
防衛省の管轄で、陸上・海上・航空の三種があり、08年3.31時点でのデータで自衛官は23万291人でさらに
即応予備・予備・予備自衛官補などの定員外人員(データなし)を含めると推定24万人前後である。
陸上自衛隊は5つの方面隊、海上自衛隊は5つの地方隊、航空自衛隊は3つの方面隊と1つの混成団で日本を守っている。

そして出動実績は、領空侵犯と領海侵入、災害派遣・PKOや人道復興支援である。
ここ数年でようやく認知され始め、アニメ・ゲーム・映画などの各種メディアに登場するようになった。
しかし、なぜか一部の国民に忌み嫌われ、内閣や政治家ですらよく知ろうとしない組織である。
大東亜戦争がトラウマになっており、日本語の言い換えが好きな(必要だった)組織でもある。
兵士は隊員と、歩兵科は普通科と、憲兵は警務隊と、脱走は脱柵と、どんな戦闘艦でも護衛艦である。
昔はもっと極端で戦車を特車、戦闘攻撃機を支援戦闘機と呼んでいた。(つい最近“戦闘機”に統一された)

とにかくこんな感じの組織だ。さあ明日は学校だ。寝よう。

翌朝、俺はいつものように朝メシ喰って、ニュースを見た。
内容は芸能で誰それが結婚したとか尖閣諸島沖事案の映像流出についての二つだった。
コメンテーターも政治家も論点がずれてると思う。ダレが漏らしたかより、フルバージョン公開とかそっちのほうが
重要じゃねえか?真実を明らかにしたんだからどっかの国みたいに愛国無罪論でうやむやにしてもいいんじゃねえの?
とか思いつつ自転車を漕ぐ。そして丘の上の学校目指して一気に加速!!自転車や歩行者が流れるように後ろに消えていく。
「ワ・レ・ニ・オ・イ・ツ・ク・ジ・テ・ン・シ・ャ・ナ・シ」とどっかにメールしたい衝動に駆られるくらいの快速っぷり。
そして近道を発見した俺は“存在しない”はずの道路に突っ込んでしまった。眩い光が俺を包み込んだ。

俺は目を覚ました。いつものように朝飯を・・・・・・緑の異様に短い制服だったか?ウチの学校。そしてこんな制服いつ買った?
確かに陸上自衛隊の新迷彩服はサバイバルゲーム用に買った。だが制服は購入した覚えないぞ。というか短っ!!!!
みぞおち位までしかねーぞ。肩章の位置も左側になってるし・・・・・・名札が医者の先生みたいに顔写真入りになってるぞ!!!!
そこに母さんが現れた。

「浩一、早く着替えて電車乗らんと入寮に遅れるよ。初っ端から遅刻するな。急げ。」
何を言ってるのか分からなかったが、とにかくこの制服もどきに着替えて地図どおりに電車に乗った。見たことも無い町並みだ。
駅や新聞での情報収集の結果、少しだけ現状を把握した。

・意識のみ異世界に飛ばされていること。そしてこれから皇立国防陸軍士官学校鎚浦高等部という学校に入学すること。
・国名は眞州(しんしゅう)、暦は世暦2055年、眞暦2715年、元号は平世16年、今日は4月5日。公用語は日本語(眞州語?)、通貨は円(¥)。
・議会制民制なのに国皇(こくおう)が居るが、政治はせず軍事のみに専念していること。
・民生主義国家の連合と共和主義の連邦という二大勢力が居て冷戦状態であること。眞州は連合側に属していること。

地形は地球に酷似しているなあ。日本の位置に眞州、アメリカの位置に合州国があるのか。
俺の居た世界のNATO側国家で連合、WTO側国家群が連邦か。
民生主義≠資本主義、共和主義≠社会主義として判断しておこう。知識も無いのに先入観で断定するのは危険すぎる。
世暦は西暦、眞暦は皇紀みたいなもんで、議会制民制は議会制民主主義みたいなもんだな。
眞州憲法でどんな位置づけなんだろうな、国皇。天皇と違って国事行為を行うだけのタダの象徴ではないことは確かだ。
最高指揮官が国皇というのが気になる。内閣と軍部は分離しているのか?文民統制に似て非なる政治体制であることは確かだ。
国防陸軍ということは日本国憲法の戦力の不保持のような規定はなさそうだ。どこかで法律書読まないと不味いな。
治安維持法・不敬罪の様なものがある可能性も考慮してハッキリするまで滅多なことは言わんほうがよさそうだな。

「次は~鎚浦~鎚浦~、皇立国防陸軍士官学校予科鎚浦高等部にお越しの際はバスにお乗換えください。」
いろいろ考えているうちにどうやら着いたようだ。改札を出ると緑と黄色の路線バスが居る乗り場と灰色のバスが4台止まっているところがあった。
「新入科生の皆さん!こっちに集合してください!!!!」迷う暇も無く声がかかる。まるで駐屯地祭のときの駐車場から駐屯地までの送迎バスのような状態だ。
「え~揃いましたね。皆さん今日は人員輸送車ですが、帰省や休暇の際は路線バス使ってください。部屋割りは棟前広場にて発表します。」
輸送車は俺達を乗せ、玄関前に降ろすと、また駅のほうに走っていった。
それから俺達は団地の様な所に案内され、煙突がそびえ立ってる昔ながらの銭湯の前の広場に集まった。
「志願番号、7050~7056、一番棟101、7057~7062、一番棟102・・・・・・」6人1部屋らしいがどんな部屋なんだろう。やっぱり病院のような感じなんだろうか。
志願番号読み上げが始まった、決まった奴から案内されている。女子は、頭にWが付いてW8760といった感じだ。

俺の部屋は二番棟の304号となった。北側から2番目で3階の4番目の部屋だ。
ドアを開けるとそこはフローリングで、パイプで出来た3段ベッドが二つ。細長い金属ロッカーが6つ。
大型の木製学習机(スタンドライト付き)が一つとイスはキャスター付きが4つ。部屋は裸電球。窓を開けるとシャープペンのような電柱がよく見える部屋だ。
軍事施設の寮っぽくない・・・・・・テレビの特集で新隊員教育があったが、全然別物だ・・・・・・しかも朝の点呼、教室でやるんだぜ?
私物をロッカーに入れ、廊下に出る。そしてぞろぞろと多目的会議室に向かう。

そこで、作業服、半長靴(はんちょうか)を受領し、諸注意を聞く。
・亡失及び破損した際はPXにて購入すること。
・検査直前には員数合わせが横行するのでしっかり掌握するように。
・採寸品は時間がかかるので早めに購入申請すること。
・あす一〇〇〇(ヒトマル マルマル)より新入科生入科式典・・・・・・入学式のようなモノだ。0840に一年次、普通科教室に集合点呼。0935より移動。
部屋に帰った俺達は自己紹介もせず、2200時に初めての就寝ラッパを聞くことも無く深い眠りに落ちていた。



[24204] 【第一話】新入科生入科式典
Name: すたーりん◆c86439d4 ID:0ec5a351
Date: 2010/11/10 07:25
眞暦2715年4月6日、0600
起床ラッパが鳴り響く。あれ、何か抜けてるようなメロディだなあ。
陸上自衛隊の起床ラッパに慣れているとどうも違和感を覚える。
ワイシャツを素早く着て、ズボンを急いで履き、奇妙なデザインのベストは省略し、上着を着用する。
ベッドのシーツを急いで折りたたみ、毛布を一箇所に固めて置く。制帽を傾かないように被る。
叔父さんに教わったとおりにこなしたが・・・・・・何も始まらない。他の奴はゆっくり起きて来て支度する。
シーツや毛布も汚く敷きっぱなしだ。検査に来ないからって、これはひどい。やっぱり軍隊っぽくない。
新入科生朝食会場と書かれた紙が貼られた食堂に行く。そこでご飯、焼鮭、味噌汁、紅白饅頭が出された。
祝 入科おめでとう。と言う紙が紅白饅頭の下に敷かれていた。
食事ラッパも鳴らないし、何より、この大雑把さは何だ?この世界の軍はどうなっているんだ?
眞州国防軍がおかしいのか?それとも鎚浦がこうなのか?と考えているうちに食べ終わり、教室へ。

0840、教官が現れて点呼を始める。
「出席番号2番、石破浩一」
「ハッ!!」しまった!つい癖でやっちまった!!これで目ぇ付けられた!!
「いい返事だ。覇気があっていいな。石破。」ニヤニヤ教官は笑っている。
目を付けられるとろくな事が無いのだ。面倒事を押し付けられたり、しょっちゅう呼ばれたりするのだ。
「出席番号7番、久我山耕平」
「アン?なんでえ?」いかにも不良といった感じの奴がタメ口をきいた。教官は低い声でこう一言。
「久我山、起立。前へ。」久我山は教官のほうに肩を揺さぶりながら歩いていき、よせばいいのにガン付ける始末。
次の瞬間、久我山は左に飛んだ。教官のフックが側頭部に入ったのだ。
「久我山、言葉遣いと態度には気をつけろ。戻れ。」
教室は水を打ったように静まり返り、久我山はよろよろ座席に戻った。
久我山のように威勢の良かった不良少年たちもマトモに返事するようになった。

0935、諸注意を終えた教官が退出するのと入れ替わるように、2年次の連絡委員が入ってきて体育館前に誘導してくれた。
1000、「新入科生、入場」の声と共に2年次の先輩が号令を掛け、進む。バラバラの動きで着席した。
「これより、平世十六年度新入科生入科式典を開会します。全員起立、敬礼。」
進行の先輩の号令に合わせ、動作するのだがどうも合わない。先輩や教官の一糸乱れぬ動きにやっと軍隊であるという実感を覚えた。

校歌斉唱、学長祝辞までよどみなく進行していった。龍門学長のお言葉のあと、在校生祝辞があり、来賓の祝辞があり、式は終了した。

そして先輩の施設案内が始まった。まず最初は体育館に一番近い食堂に案内された。
「えーっと、ここは君らが朝食を摂った食堂だな。昼飯時は戦場となる。場所取り、人気のパン争奪戦。」
「コッペパンがハズレくじのような扱いなんだが、それにも負ければ飯抜きになっちまうから、泣きたくなければ人垣を掻き分けろ。」
争奪戦・・・・・・なんなんだここは。普通、食堂は全隊員が食べられるようになってるんじゃというか固定メニューじゃないのか!?
貰った給料速攻使っても飯は食べられる・・・・・・んじゃないのかよここは!!!!

「次、PX。ポストエクスチェンジの略で早い話が売店だな。生活必需品、被服等装備品、食料品とか売ってるお店だ。クリーニングもある。料金表はアレだ。」
ここは駐屯地のPXとあんまり変わってなくて良かった・・・・・・なんで東亜マルイ製の電動ガン置いてんだよ。隣には1/1スケール装弾筒付き翼安定徹甲弾の模型が・・・・・・
アヲヂル味のレーションとか色々不思議すぎるラインナップだなあ。 パンツァーファースト弁当とかクレイモア型海苔弁当って武器の名前じゃないか!!

「ここは衛生室、衛生科の魔窟だ。傷病したときに利用しろ。恐ろしさは後でわか・・・・・・志津教官!!!!」
「藤巻ぃ、いい度胸だぁね。」
なにかけだるそうな白衣の女性に殴られる藤巻先輩。見た目は普通の保健室だ、何が恐ろしいのだろうか・・・・・・。

別の棟に入り、鍵の開いている部屋に案内された。理科室みたいだが、コンクリート製の壁は穴だらけだ。
「ここは実習棟、小火器の整備実習、分解結合の練習やるところだ。」
「あの、この穴って何なんですか?」一人の女子科生が質問をぶつけた。俺も思っていた。
「こいつか?暴発事故で開いた穴だ。アレは馬鹿が連発で暴発させやがった時の穴だな。お前らも馴れて来たら危機回避力付くから安心しろ。」
なんで整備実習や分結の練習で実弾装填してんだ!!!!危機管理とか安全性とかそんなものが欠落している。
薬莢が転がってるところをみると、実話なんだろう。つーか年間で死人はどれ位いるんだろう。

実習棟から出ると、グラウンドへ出た。見た所普通の陸上競技場の縮小版みたいな作りだ。トラックがあって、幅跳び用の砂場がある。
「ここは処刑場・・・・・・じゃなくてグラウンドだ。しこたま走らされて、吐くまでしごかれる。そして休み時間に使うときは気を付けろ。」
なんだかとっても嫌な予感がする。シゴきもランニングも軍隊ではある事だ。最後、もっともやばそうだ。
「機甲科二種の馬鹿どもが色んな物を投げてるからな。ハンドグレネードや砲丸には特に気をつけろ。当たると大ダメージか二階級特進だ。」
やっぱり。ここの人等は危機管理的な何かを棄ててる。というか武器の管理とかってどうなってるんだ。

「あの実習棟の向こうに見える建物が図書館だ。普段は本好きしか入らない、試験前に勉強する奴が入るくらいだな。閉館は1800時だ。」
俺達は分厚いコンクリートの壁を抜け、格納庫に来た。
「ココはハンガー。格納庫だな。整備科と機甲科の巣窟だ。武器の受領等で来る事になるからしっかり見とけ。」
科生達がざわつく。「戦車だ!」とか「おっきい!」とかそんな感じで。男子科生も女子科生も興奮している。
「おーいヨーヘイ、お客さん連れてきたぞ。いつもの奴やっちゃってくれ!」藤巻先輩は機甲科の科生に話しかけた。
するとハンガーの奥の戦車が急発進し、ハンガー入り口で見ている俺達の横をスピード出して通過し、土嚢と鉄骨で出来たジャンプ台の前で急旋回!!
そして勢いを付けるとジャンプした。湧き上がる新入科生たち。そして俺達の前で止まり、油圧姿勢制御によって高くなってから前傾姿勢にし、お辞儀をした。
それをみて女子科生達が「かわいい」と叫ぶ。俺には90式戦車が姿勢制御しているようにしか見えないんだが。
「この戦車は九九式主力戦車です。ここ鎚浦予科練には五両配備されており、鎚浦のモットー“実戦的教育”に大きく貢献しています。」
ハンガーのスピーカーから声が聞こえてきた。ノリが駐屯地祭だ・・・・・・というかアレまんま90式戦車じゃねえか。こっちのは眞暦2699年に制式採用された戦車らしい。

「最後に、演習場だ。軍用語でヤマっていうから覚えとけよ。そろそろだな。」
なにがそろそろなんだ。ココの校風理解する前に死ぬかもしんねーな俺。やりそうな事がうっすら分かってきた。祝砲ぶっ放す気だな。
「3、2、1、よし来た。」藤巻先輩が空を見上げた時、遠くからポンポンポンと音がした。迫撃砲を祝砲代わりにしていた。
そしてヒューンと風を切る音がし、時限信管が発動したのか次々と花火が開いた。上がる歓声。発射方向を見ると軽迫撃砲が3基、重迫が一基。
だが、最後の一発は炸裂せず、校舎の方へと消えていく。
「ありゃりゃ、歓迎弾は12発だったような・・・・・・軽迫に実弾混じってたかな?ま、いつものことか。」
そして、弾着。着発信管が作動し爆発。黒煙が立ち上った。
騒然とする新入科生たち。俺は藤巻先輩に話し掛けた。「先輩、毎回こんな事が起こってるんですか、ココ。」
先輩は苦笑いしながら言った。「ああ、まだマシなほうだな。1週間程度で謹慎とけるだろ。」

それから色々あった気がするが覚えていない。解散してすぐに寝たと思う。
こうして入科式典と新入科生案内は終了した。




[24204] 【第二話】授業一日目
Name: すたーりん◆c86439d4 ID:0ec5a351
Date: 2010/11/11 06:02
眞暦2715年、4月7日0600 起床ラッパ前に起床し身支度を終えた俺は朝メシを食べるために寮を出た。
支給された背嚢(はいのう)・・・・・・リュックサックに筆記用具と教科書を入れて食堂に向かったが、朝食は0700からと言う事を思い出し、散策する事にした。
食堂前広場は花壇があり、広々としているが、木に弾痕があったり、藪に対人地雷のトリップワイヤの様なものが張られていたりし、デンジャラスな雰囲気が漂っている。
食堂近くの掲示板に、研究会・・・(部活みたいな物だ)が勧誘のポスターを貼っている。内容は“来たれ!新入科生!! 火薬研究会”や
“対人障害のキワミ!! 対人障害研究会”などやばそうなものが多い。というかアレ対人障害研究会の仕業じゃねーのか。
市街戦研究会とか、不正規戦研究会とかあるけど電動ガンでやってんだろうなあ・・・・・・ココの奴らなら実銃使いかねないなあ。

朝礼、訓練分隊の編成表を見せられる。俺は19分隊だった。

一時間目、最初の授業は石堂教官の“基礎課程Ⅰ”である。30代後半くらいに見える白髪の教官が入ってきた。
「全員、起立、敬礼、着席。」出席番号1番が号令を掛けるが当然、動きはバラバラだ。石堂教官はそのまま授業に入った。
「最初の議題は、まず、命令と集団だ。今のザマだと貴様らは全く役に立たない。いいか、命令を受けたらバネ仕掛けのようにすぐ動け。」
統率の無い集団は烏合の衆以外の何者でもない。新隊員教育に「砂は手づかみで投げてもたいした事無いが、袋に入れた砂は威力が大きくなる」と言うのがある。
バラバラの砂を投げても威力は無いが、土嚢を投げつけられたら威力がでるのと同じように、集団も統率という袋があることで大きな力を発揮する事が出来るのだ。
「岡崎!返事はハイだ!そして分からないからと言って黙るな!!すぐ返事しろ!!返事の遅れで死人を出す事もあるんだぞ!!」
「ハイ!!分かりましたッ!!」少し考えているうちに、授業が進んで・・・・・・いなかったようだ。返事や、即答について説教が始まっている。
岡崎正宗という武将みたいな名前の奴が“教材”になってしまったようだ。

二時間目、“基礎動作Ⅰ”はグラウンドに出て、実際に動作をする教育だ。担当は石堂教官だ。予科練は座学担当教官と動作訓練担当教官が別れてないのか?
更衣室で二種演習装備を装着する。二種演習装備とは迷彩作業服に国防色の89式鉄帽を装着し、弾帯を付け、半長靴を履いたものだ。
迷彩作業服がどうみても陸上自衛隊新迷彩にしか見えないんだが。そして、89式鉄帽の作りが変なんだよな。
偽装取り付けバンドを留めているパーツが一体成型なんだよな。普通、偽装取り付けバンドは迷彩カバーに付けないか?
考えているうちにグラウンドへ整列していた。石堂教官の号令にあわせて動く。
「かしらー右!」「全体、前へ!」「列を乱すな!歩調合わせ!」「腕をしっかり振れ!!顎引き胸張れ!!」
これを50分間何度も繰り返した。終わった頃には皆、疲れていたがすぐ着替え、教室に戻る。

三時間目、“現代文”文法も日本語と同じだったため、普通に受ける。唯一日本での経験が通用する教科じゃないかと思う。
歴史系はこの世界の事を知らないから全滅だろうな。古典・現代社会も同じく。英語は比較的弱いからツライ。
化学・生物は見たところ、日本での経験が通じそうだが、まだ分からない。
数学は・・・・・・苦手だ。数学がダメだったから、理系と違って競争倍率が異常に高い防衛大の人文社会学科受験したんじゃないか!
ここは試験無かったらしいが、士官学校や国防大学校といった教育機関があり、難しいらしい。そこ目指してみるかな。

四時間目、“数学Ⅰ”因数分解ってどうやるんだっけ、一次関数がy=αxで、二次関数がy=2αxだったっけか。
高二で数学を捨てて文系に走った俺には辛いぜ。

昼休み、課業終了のラッパと共に食堂へ科生たちが突撃を掛ける。俺は全力で食堂に急行する。その時隣を走る二人と目が合った。
同じクラスの岡崎正宗と吉光藤志郎であった。その場で昼飯同盟(吉光命名)を結び、人垣の中に突入して道を築く、そこを岡崎と吉光が三人分調達する。
これによって、授業初日の昼飯は確保できた。三人で座席を探していると、いかにもお嬢様な女の子があの人垣の中に入っていく。
その瞬間モーセの十戒の如く人垣が割れるではないか!吉光が「おおぃ!なんだありゃ!」と一言。女の子は無傷でパンを5個抱えて、女の子たちの集団に入っていった。

五時間目、“眞州史”

世歴1992年、民政主義を掲げる連合と共和主義を唱える連邦の衝突から大西洋西部地域で世界大戦が勃発する。
世暦2002年12月、眞州海を連邦艦隊が通過、南海の連合機動艦隊を攻撃。眞州海事件と言う。これに中立条約違反だと怒った連合軍は眞州に対して同盟要求。
これを断った眞州に対し、時の合州国大統領ドワイト=アイゼンハマーは宣戦布告。2003年1月、ミッドウェー海戦。眞州海軍第三艦隊は合州国海軍航空隊の奇襲を受け壊滅。
2004年2月。大陸の植民地に連合王国軍が侵攻、大牟田中将、白骨街道を築きながら脱出。島嶼部において散発的な抵抗を行うも悉く玉砕。
国皇、連合との講和を宣言。軍は解隊される。警察保安隊創隊。連邦政府は対眞州政策を“敵対的国家政策”に切り替え、北洋の漁船の無警告撃沈、拿捕を行う。
警察保安隊と連合軍によって北洋の安全化作戦実施。北洋艦隊壊滅。同年6月、連合軍、ネヴァダで世界初の核実験。8月、連邦、ノヴァヤゼムリヤで核実験。
世暦2005年、ユトレヒト講和条約が締結され世界大戦が終結するも、冷戦に突入する。
世暦2007年、高麗戦争特需景気。連合軍の休憩所として働き、巨額の収入を得る。2009年、停戦。北鮮と南韓に分裂する。
世暦2008年~2028年の間に、眞州改造計画や高度経済成長があり、眞州は豊かになるが竹田島領土問題が発生する。この頃世界では越南戦争・クメール国内戦発生
世暦2030年代、中東で湾岸戦争が勃発する。連合、眞州に派兵を要求。法律上の問題が発生するため警察保安隊廃止、国防軍となるも戦力が足りないため、掃海隊のみ派遣。
古くから軍人教育が盛んであった眞州は、量を質で補うべく幹部候補教育の強化を決定。その一環に、高校に相当する予科高等部の教育強化も含まれていた。

日本に似ているような似ていないような様な歴史だな。教官が歩兵を普通科と言うのは保安隊時代の名残であるといってたな。
入学試験も無くて志願表が書ければ入れるところって事はいまの国防陸軍はバブル期の自衛隊の様な状態なのか?

こうして、一日が終了した。今日知り合った二人と一緒に二番棟の前まで帰った。岡崎・吉光は一番棟303に住んでるらしい。

そして、翌日、訓練分隊による訓練が始まった。


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