政治の混乱と治安の悪化が続くイラクでは、連立政権の発足に向けて11日に開かれた国民議会でタラバニ大統領の続投が正式に決まりましたが、大統領の選出にあたって再び対立が露呈するなど新政権の正式な発足には、なお時間がかかるとみられています。
イラクでは、ことし3月に行われた国民議会選挙で、いずれの政治勢力も過半数を獲得できず、連立協議も難航してきました。しかし、主要な政治勢力は11日、選挙から8か月たって、ようやく新たな連立政権の枠組みに合意したと発表しました。それによりますと、首相と大統領は現職のマリキ首相とタラバニ大統領がそれぞれ続投しますが、首相に権限が集中しないよう新たに国家戦略政策評議会を設け、そのトップに選挙で最大勢力となった政党連合を率いるアラウィ元首相が就任するとしています。しかし、11日夜に開かれた国民議会では、タラバニ大統領の続投が正式に決まったものの、大統領の選出手続きをめぐってアラウィ元首相の政党連合が議事進行の順番が違うと反発して退席するなど、対立の根深さをうかがわせました。各政治勢力の間には閣僚ポストの配分など、依然、調整すべき課題が残されており、新政権の発足までには、まだしばらく時間がかかるものとみられます。