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きょうのコラム「時鐘」 2010年11月12日
連載「丈夫がいいね」に、寄生虫アニサキスが取り上げられていた。腹痛や下痢を引き起こす難敵で、これからが楽しみなタラ鍋も用心が必要、とあった
厄介ものを腹に入れるとおかしくなる。「頭山(あたまやま)」という落語がある。サクランボを種ごと食べた男の頭から突然、芽が出てきて大きな桜の木になるというヘンな話。近所の人たちが頭に集まって、ドンチャン騒ぎの花見をする 男は閉口して頭の桜を引き抜く。できた穴に雨水がたまって池になり、魚がすみついて今度は釣り客が殺到する。消化不良がとんだ災難を招くという愉快な一席 むちゃくちゃな話だが、連日、APECでFTAやTPPをどうするこうする、という騒ぎに接すると、奇妙な横文字が消化不良のサクランボの種に見えてくる。なにせ、国のかじをとるのは、怪しい生煮えの政権公約を並べたり、消化不良の種を次々とのみ込むのが得意な人たちなのである 相次いで襲う騒動に、落語の男はぶち切れて、自分の頭にできた池に身を投げて自滅の道を選ぶ。現実離れした話だが、オチだけは、なさそうでありそうに思えてくる。 |