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立ち読み |
| 11月18日号 |
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ラスベガス「地下」に住み着いた「トロール」1000人

札束が舞う豪華絢爛なネオン街。その下で、1000人もの人々が密かに生活を営んでいた――。映画ではなく、米ラスベガスに実在する2つの世界の話。
総面積約294平方キロのこの都市には、洪水対策のため全長350マイル(約563キロ)もの地下トンネルがはりめぐらされている。毒蜘蛛が這い、汚水が溜まる暗い地下道に、いつの間にか住み着いた人々。地下に住む妖精を意味する“トロール”と自称する者たちだ。麻薬中毒者や精神障害者なども多くいるが、夫婦や子連れも少なくないという。
例えば、生後4カ月の息子を亡くしたショックから麻薬に逃げた30代の夫婦。心機一転、ラスベガスへ向かったのは2年前のこと。
「仕事があると耳にしたが、実際はそう甘くはなかった。トンネルに住む人の紹介で、路上から引っ越してきた」
先日、待望の結婚式を市内の名門チャペルで挙げるが、マクドナルドに立ち寄ると、地下の我が家に戻る。
それ程までに居心地が良いらしいのだが、実社会から逃げようとも、生存しなければならない。人気の“地場産業”が「クレジット・ハスリング」なるもの。
「古着を着て、カジノにもぐりこんで、スロットマシーンに残されたお金を盗る。ひと晩平均で20ドル(約1620円)。最高は997ドル(約8万円)だった」
「他人のゴミは僕の黄金」
と言う住民たち。日用品を現金で購入し、自家製のシャワーまで設置。絵画を壁に飾り、捨てられた本で図書室を作る。椅子にダブルベッドは当たり前。時には映画館での鑑賞も楽しむ。
しかし、もし1時間に50ミリの大雨が2時間も降れば完全に水没する。妖精たちのはかない楽園だ。
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