輝く女性一覧欧州の企業文化に共感山内 麻理(やまうち・まり)さん
UBS証券ウェルス・マネジメント部マネージングディレクター(下)
複数の米系金融機関を経て夫の海外駐在に伴い、バンカーとしてのキャリアを一時中断。2005年帰国と同時にUBS証券入社。ウェルス・マネジメント部門の立ち上げに従事。上智大外国語学部英語学科卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院卒。
「仕事はやり尽くした」と、引退するつもりで知人の会社を辞め、2001年、夫の転勤に伴ってベルギーに渡った。 現地で多くの人に会って話をする中で、ヨーロッパの言語や文化、社会、経済の多様性に驚くとともに、歴史の深さと重さを感じるようになった。 企業文化の面でも、当時アメリカの影響から日本でもてはやされていた「株主至上主義」とは明確に一線を画す姿勢があった。欧州には様々な文化や社会を背景に、企業にも独自のコーポレートガバナンスが根付いていた。ここに欧州企業の多様性や懐の深さを実感した。 いったん引退を決めたものの、「働くことで学べることがたくさんある。一生、何かを続けたい」との思いも次第に強くなっていった。 その後、夫の仕事でペルーに移るが、かつての同僚から1通のメールが届いた。「日本で個人向けの金融業務を立ち上げるので加わらないか」との誘いだった。 偶然にも、ベルギーでの生活を通じて興味を持ち始めた欧州に本拠を置くUBSでの仕事だった。仕事復帰を決断し、2005年に帰国した。UBS証券で個人富裕層向けの金融商品を扱う事業の創立メンバーに加わった。 欧州系企業で働くのは初めてだが、UBSの企業理念に共感している。会社の短期的な収益を犠牲にすることがあっても、「売るべきでない商品がある」との信念があるからだ。 常に顧客のリスク許容度や適合性を重視し、推奨する市場や資産クラスはグローバルな調査に基づいて判断している。「UBSを通じて、お客様に世界の金融市場にアクセスしてもらえれば」と考えている。 1987年の「ブラックマンデー」の日、出社するとアメリカ人の同僚が真っ青になっていた。2008年のリーマンショックも大きな衝撃だった。しかし、「経済活動が存続する限り、市場は復活する」との揺るぎない歴史観がある。 「バブルは繰り返す。行き過ぎたものは必ず修正される」。こうした市場のサイクルを実際に経験したからこそ、見えてくるものがある。金融の世界で「また新しいことに挑戦したい」と感じている。 <メモ> (2010年6月4日 読売新聞)
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