EUと来春からEPA交渉、首脳会談で提案 “隆盛”韓国に対抗

2010.11.11 10:08

 菅直人首相が12日にソウルで行うEU(欧州連合)のファンロンパイ大統領との会談で、2011年春から経済連携協定(EPA)の締結に向けた交渉開始を提案することが分かった。EUは今年10月に韓国と自由貿易協定(FTA)に署名し、来年7月に発効することになっており、このままでは韓国企業との競争が不利となることから、締結が急務と判断した。

 ただ、EUは、食品や工業製品の安全基準認証の簡素化など、非関税障壁の撤廃を求めており、交渉がスムーズに進むかは不透明な面もある。

 菅首相は、10月にベルギーで行われた首脳協議で、来春の首脳協議で交渉開始を合意したいとの意向を伝え、バローゾ欧州委員長も前向きに対応する考えを示していた。

 11日にソウルで開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議を利用して、ファンロンパイ大統領と会談し、EUとのEPA交渉入りを明確にし、13日から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議につなげたい考えだ。

 EPA交渉では、日本は、自動車や液晶テレビなどの関税の撤廃を要望。EU側は、安全認証手続きの簡素化のほか、政府調達の情報公開など非関税障壁の撤廃を求めている。

 これまで日本側は、安全認証について難色示してきたが、先に閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」で、非関税障壁の改革案を3月にまとめることを打ち出し、交渉入りの環境が整った。

 EU向けの輸出には、自動車が10%、液晶テレビで14%の関税が課せられている。韓国企業は7月にFTAが発効すれば、段階的にゼロとなり、日本製品との価格競争力で優位に立つ。日本企業は、「世界市場で躍進する韓国企業にさらに差をつけられる」との危機感を強めている。

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