学校法人・帝京大学(東京都板橋区)の総長だった冲永荘一氏が08年9月に75歳で死亡した際、リヒテンシュタインの銀行で運用していた金融資産を相続財産に含めていなかったとして、息子の佳史同大理事長ら遺族が東京国税局から約15億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。追徴税額は過少申告加算税を含めて約4億円とみられる。
リヒテンシュタインは、タックスヘイブン(租税回避地)として知られ、日本と租税条約を結んでおらず情報交換ができない。関係者によると、元総長の口座情報が09年ごろドイツ当局から国税庁に提供され、国税局が調査を開始したという。
遺族は、この金融資産の存在を知らなかったとしているという。国税局も意図的な隠ぺいはなかったと判断した模様だ。
このリヒテンシュタインの銀行を巡っては08年、元行員が顧客情報を盗み出し、ドイツの情報当局に約500万ユーロ(当時約8億円)で売っていたことが発覚。ドイツではこれを元に脱税摘発が進み、米国など各国の税務当局も調査を始めている。【加藤隆寛】
毎日新聞 2010年11月3日 17時11分