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警視庁公安情報ネット流出は「情報テロ」 仕掛けたのは誰? (1/2)
国際テロを捜査する警視庁公安部外事3課が作成した可能性のある資料がインターネット上に掲載された問題は何者かが仕掛けた「情報テロ」だったとの見方で固まりつつあり、「日本の情報活動史上、最悪の事態」だ。
2010年11月08日 08時01分 更新
インターネット上に掲載された警視庁公安部作成とみられる資料(画像は一部加工しています)
国際テロを捜査する警視庁公安部外事3課が作成した可能性のある資料がインターネット上に掲載された問題は、横浜市でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催直前に何者かが仕掛けた「情報テロ」だったとの見方で固まりつつある。現状でも「日本のインテリジェンス(情報活動)史上、最悪の事態」(警視庁OB)といえるが、仮に内部犯行だった場合に警察当局が受けるダメージは計り知れない。“手負い”の警視庁は、どこまで真相に迫れるか──。
意図的?「ウィキリークス」名乗るサイトにも
<聴取計画について
みだしのことについては、FBI(米連邦捜査局)からの捜査要請に基づき次の通り聴取を実施したい>
資料には表題に続き、チュニジアやモロッコ国籍の6人の名前や住所、生年月日などの個人情報が並ぶ。これ以外にも警察官2人がモロッコ人男性と東京・銀座のかに料理店で接触した際の聴取結果、イスラム圏の大使館の給与振込口座解析結果、さらには顔写真が入った警視庁国際テロリズム緊急展開班名簿…。秘匿性の高い“一級品”の捜査資料の流出は114件にのぼった。
これら警視庁のものとみられる資料が、ファイル共有ソフト「ウィニー」のネットワーク上で閲覧可能になったのは10月28日午後9時のことだった。ほぼ丸1日、ウィニーに接続されていた形跡があり、警視庁は29日午後8時ごろ、民間会社から神奈川県警を通じて寄せられた通報で掲載を確認。激震が走った。
「意図的に掲載されたとしか思えない」。情報セキュリティー会社「ネットエージェント」の杉浦隆幸社長は指摘する。
追跡が困難なルクセンブルクのレンタルサーバーを利用していたことや、暴露ウイルスに感染した際に特徴的な流出元の個人データなどがなく、国際テロに関した資料のみが流出していたからだ。
「捜査協力者」として多くの個人情報が掲載されているが、ウィニー上に流出した資料は、現在もサイトに転載を続けて拡散しており完全削除はもはや不可能な状態に。
いち早く転載されたサイトには、米軍などの機密情報を内部告発するサイトとして世界中で注目を集める「ウィキリークス」を模した名前のものもあった。フォルダの名前に現職公安部幹部の名前を冠していたこともあり、「内部」の疑念も浮上した。
流出した資料は北海道洞爺湖サミット警備の体制などのほか、外事3課が動向を追跡する外国人の人定事項台帳なども含まれた。
「長い間かけて積み重ねてきた国際テロの捜査は振り出しに戻ってしまうのか」
警察幹部は唇をかみしめた。
「個人」で所有できない資料…誰が、どこから
容易に入手することが困難な内部資料。では、誰がどのようにして入手したのか。依然として謎に包まれている。
[産経新聞]
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