臨床研修医が受ける研修の質を高め、研修医の確保につなげようと、県内の受け入れ先となっている全16病院が今年度、「県臨床研修病院ネットワーク」を設立した。研修医が病院間を行き来し、多様な症例を経験させるのが特徴。事務局を務める県立医大の「医療人育成・支援センター」によると、一つの都道府県内で全研修病院が提携する例は珍しいという。
同ネットは、県内の医師不足は研修場所として選ばれることが少ないことも背景にあると考え、6月に発足した。県地域医療再生基金から今年度597万円の支援を受けている。
研修は基本的に、大学卒業後の2年間、同一病院で受ける。重度の患者が多い病院がある一方、風邪や腰痛など比較的軽い疾病が中心の病院もあり、研修医が学べる症例に偏りがあった。病院間を行き来してさまざまな症例を経験すれば充実した研修となり、研修先として選ばれやすくなると期待される。
各病院は今後、それぞれ研修医を募集しながら、同ネットとしても県内病院での研修を呼び掛ける。22日には福島市野田町の「ウェディングエルティ」で、来年度に研修先を決める県立医大5年生を集め、初の合同説明会を開く。県幹部が福島の魅力をアピールし、各病院が研修プログラムを説明する。
16病院の来年度研修医は、募集枠149人に対して決定は78人。充足率は52%で全国平均を22ポイント下回っている。【種市房子】
毎日新聞 2010年11月11日 地方版