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中国漁船・尖閣領海内接触:ビデオ流出 海上保安官取り調べ 複数管区で閲覧可能

報道陣が集まる第5管区海上保安本部が入る神戸第2地方合同庁舎前=神戸市で2010年11月10日午後6時4分、小川昌宏撮影
報道陣が集まる第5管区海上保安本部が入る神戸第2地方合同庁舎前=神戸市で2010年11月10日午後6時4分、小川昌宏撮影

 ◇警視庁、きょう再聴取

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像が流出した事件で、船上勤務中の10日午前、上司に「自分が流出させた」と申し出た第5管区海上保安本部(神戸市)の神戸海上保安部に所属する海上保安官(43)について、警視庁捜査1課は同日午後、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で取り調べた。保安官は「私がやりました」と認めているという。一方、映像はビデオを保管する第11管区海上保安本部(那覇市)以外でも閲覧できる状態だったことが判明。捜査1課は保安官の説明の裏付け捜査を慎重に重ねる必要があるとして、11日も引き続き取り調べる方針。

 捜査関係者によると、保安官は4日午後9時ごろ、神戸市中央区内の漫画喫茶のパソコンからインターネット上の動画サイト「ユーチューブ」に中国漁船衝突事件の捜査資料の一部映像を投稿した疑いが持たれている。

 保安官は捜査1課の調べに「自分が映像を持ち出した」「漫画喫茶に行った」などと話しているという。だが映像を持ち出した日時・場所や経緯の説明にあいまいな部分があり、漫画喫茶の防犯カメラ映像も鮮明でないという。捜査1課は漫画喫茶のパソコンの通信記録を解析するとともに、映像の入手方法の確認を急いでいる。

 海上保安庁などによると、保安官は巡視艇「うらなみ」の主任航海士。船上勤務中の10日午前9時ごろ、様子がおかしいことに気付いた船長に事情を聴かれ「自分が流出させた」と報告したという。

 流出映像は4日午後9時ごろにユーチューブに投稿され、5日午前7時半過ぎに削除された。警視庁などの解析で神戸市の漫画喫茶が発信元に浮上した。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

 ◇入手経路を追及

 ビデオ映像流出事件で、映像は第11管区海上保安本部以外の複数の管区でも閲覧できる状態にあったことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁捜査1課の取り調べに映像投稿を認めた海上保安官(43)が所属する第5管区海上保安本部でも閲覧でき、保安官は容易に映像を入手できた可能性がある。捜査1課は、具体的な入手方法について追及する。

 捜査関係者によると、映像は衝突事件が発生した9月、11管から海上保安庁本庁を経て、5管を含む複数の管区に渡っていたという。保安官は読売テレビの取材に「ほぼすべての海上保安官が見られる状況にあった」と話したとされるが、全管区には行き渡っていなかった模様だ。

 海上保安庁はこれまで、11管の石垣海上保安部が那覇地検に提出した十数本の映像資料の一つと説明していた。このため内部調査の対象を11管の職員らに絞ってきた。だが複数管区に映像が拡散していたとすれば、国会などでの海保側の説明と異なることになる。

 ◇「私がやらねば闇に葬られた」テレビ取材に保安官

 日本テレビ(東京都港区)は10日、海上保安官が系列の読売テレビの取材に対し、映像を持ち出してネット上に公開したことを認めていたとニュース番組で報道した。保安官は「国民の誰もが見る権利がある。誰もやってくれないなら自分でやるしかないと、誰にも相談せず一人でやった」「私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまう」と動機を述べたという。

 読売テレビ(大阪市)総合広報部によると、先週末に「sengoku38を名乗る人物がいる」との情報が寄せられ、記者が神戸市で面会し取材した。

 保安官は1日に一部の国会議員だけに7分程度の映像が公開されたことに危機感を募らせ、「このままでは国民がこの映像を見る機会を失う」と決断した理由を話したという。

 映像を入手した経緯は詳しくは語らなかったが、「私の想像」と断ったうえで「ほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見られる状況にあった。国家機密的扱いはされていなかった」と話したとしている。

 投稿名の「sengoku38」については「仙谷(由人)官房長官でもあるし、戦国時代の戦国かもしれない。自分の胸の中の秘密」と話したという。

毎日新聞 2010年11月11日 東京朝刊

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