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中国資本の席巻

2010年11月11日0時1分

 中国主要自動車メーカー各社の2009年の業績が公開された。税引き前利益は、中国最大の乗用車メーカー上海汽車集団が、622億元(09年平均為替レートで約8500億円)。これに東風集団が約6千億円、一汽集団が約4700億円で続く。

 今年も好調に業績を伸ばしており、利益は更に拡大する見通し。なかでも上海汽車集団の税引き前利益が、1兆円に近づく可能性は高い。1兆円といえば、トヨタ自動車グループが01年度に600万台の世界生産で稼いだ営業利益に相当。それを約6割の生産で獲得する見通しだ。

 部品や材料分野を含め、中国の自動車関係企業が、昨年から急速に生産能力の増強や新製品の開発、先端技術の研究など、将来投資を積み増しているのは、好調な業績を背景に潤沢な資金を獲得したからだ。

 この中国企業による将来投資には、先進国企業の買収も含まれる。吉利汽車が今年、米フォードから高級車ブランド「ボルボ」を買収したことは記憶に新しい。部品分野でも、先進国企業やその子会社、事業部門が中国企業に買収されるケースが増えている。

 好業績を背景に、多くの中国自動車関係企業が今年も高収益をあげることは必至。その結果、来年は今年以上に、多様な分野で中国資本による世界企業の買収が進む可能性が高い。米GMと乗用車生産で合弁する上海汽車集団が、GMが再上場される際に出資する可能性が指摘されているのは、それが可能であり現実的だからだ。

 後発企業が、自前で技術力を育成する時間を、買収によって短縮することは一つの選択肢。来年は中国資本が世界の自動車業界を席巻しそうだ。(窯)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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