中日両国の有識者が政治や文化、科学など幅広い分野で議論して両国首脳に提言する「新中日友好21世紀委員会」の第2回会合が10月30日から11月3日にかけて新潟市で開かれた。中国側は座長の唐家セン(センは王へんに旋)元国務委員ら12人、日本側は座長の西室泰三・東京証券取引所グループ前会長ら9人が出席した。会合では中日関係の改善をめぐり意見が交わされ、いつくかの合意に達した。会合の後、中国側の委員は新潟県立大学で開かれた座談会にも出席した。以下は、同会合に出席した中国側委員の一人、葉小文・中央社会主義学院副学院長の評論。中国共産党の機関紙、人民日報の海外版が伝えた。
「日中関係が複雑化する中、耳で聞くだけでなく、自らの目で見なければならない。メディアの報道をうのみにすることはできない。顔と顔を合わせた交流を行って、肌身に感じること。そして、自分の目で見たものを信じることが最も重要」----。日本人学生からこうした声が多く聞かれる。
確かに、勘繰り合うばかりでなく相互信頼を深めることは大切だ。だが、目で見たものも、必ず当てになるとは限らない。例えば、日本の国会内でいわゆる“漁船衝突事件”のビデオが公開されたが、それによって事件の真相や、日本側の行為の違法性を覆せるわけではない。釣魚島が古くから中国固有の領土であるという以前に、日本保安庁の巡視船が釣魚島沖で中国漁船の進行を妨害し追い払おうとし、さらに拿捕(だほ)したこと自体が違法である。「石と卵がけんかしたら、常に石が勝つ」という言い方があるが、今回の事件がまさにそれである。勝ち目のない卵が石にぶつかっていくはずはない。同様に考えてもらいたい。はたして、小さな漁船が重厚な巡視船にぶつかっていくはずがあるだろうか。
では、現在の中日関係は、どのようにとらえるべきだろうか。活発な議論の結果、以下の5つの認識で一致した。
(1)広い視野でとらえる
一衣帯水の中日両国には2千年におよぶ交流の歴史がある。中国仏教協会の趙朴初・元会長がかつて、両国の過去や現実にはぎくしゃくする時期もあるが、長い歴史の中で、それはほんの一瞬に過ぎない、と語ったことがある。「風は吹けども山は動ぜず」----。泰山(中国山東省にある中国で最も尊いとされる山)が動くことがなければ、富士山が動くこともない。どんなことが起ころうとも、中日友好の大きな流れをせき止めることはできない。強風が吹けども山はびくともしない。こうした広い視野で両国関係をとらえることが必要である。
(2)堅実な視野でとらえる
根本的で共通の利益は最も確かなものである。経済面における両国の相互補完性や東アジア・アジア太平洋地域の共同発展に目を向けるほか、経済グローバル化の視点から中日関係を見据える必要がある。戦略的互恵関係にある両国は「和すれば共に利し、闘えば共に傷つく」(友好を深めれば双方に利益があり、戦えばともに傷つくことになる)。
(3)問題に向き合う
問題は、いつかは解決しなけばならない。道もいつかは前に進まなければならず、袋小路に入ってはならない。ますます複雑化する問題を先送りしていては、これまで中日友好のために尽力してきた先人にも、これからの両国関係を担う次の世代にも申し訳が立たない。
(4)未来を見据える
未来を見据えなければならない。若い世代がこれから中日友好の主力となることをかたく信じる。これまでの成果や歴史を心に刻みつつ、世々代々にわたって友好関係を築く。希望を未来に託すべきである。
(5)相互信頼を深める
中国は国家主権や領土に関する問題で譲歩することはなく、平和発展の道も揺らぐことはない。平和発展を実現するには善隣友好に取り組む必要がある。これは「家庭が睦(むつ)まじければ全てがうまくいく」という思想の延長にある。中国は和をもって貴しとなす。他国に危害を加えることもなければ、恐れることもない。(編集YT)
「人民網日本語版」2010年11月5日 |