尖閣中国漁船衝突事件の映像が送信されたとみられる神戸市内の漫画喫茶(画像を一部修整しています)=原田拓未撮影
尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、神戸海上保安部(神戸市)所属の巡視艇「うらなみ」の主任航海士が、同船の船長に対し、「問題の映像は自分がインターネット上に投稿した」という趣旨の説明をしていることが10日、わかった。
警視庁や東京地検は、この主任航海士が流出に関与した可能性があると見ており、警視庁が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで取り調べを始めた。
一方、警視庁は9日夜から10日未明にかけて、動画投稿サイト「ユーチューブ」に映像が送信されたとみられる神戸市中央区の漫画喫茶を捜索し、防犯カメラ映像やパソコンの通信記録などを押収した。第5管区海上保安本部や神戸海保はこの漫画喫茶から約1キロの距離にある。
同店の関係者によると、店内にはインターネットが使えるブースが約100室あり、防犯カメラは店内に約10台設置。流出映像がユーチューブに投稿された11月4日のカメラ映像も保存されていたという。
この主任航海士が流出に関与していた場合、どのような手段で映像を入手したのかが問題になる。捜査当局は、問題の映像は石垣海上保安部(沖縄県)の内部から流出した可能性が高いとみているが、5管本部や神戸海保からは衝突事件の捜査に応援の職員は派遣されておらず、この主任航海士と石垣海保関係者との接点は現段階では分かっていない。警視庁は、映像の流出ルートについて詳しく調べる。
海上保安庁と検察当局の内部調査で、ユーチューブへの流出映像は、石垣海保が9月7日の事件直後に作成し、同10日頃、CD―Rに収めて那覇地検に提出したものと同一と判明。海保は今月8日、被疑者不詳のまま、国家公務員法違反などの容疑で東京地検と警視庁に刑事告発していた。
◆漫画喫茶=個室などで漫画を読んだり、インターネットを利用したりできる店舗。事業者団体の日本複合カフェ協会によると、2009年6月時点で、全国で2845店舗ある。(2010年11月10日14時35分  読売新聞)
*読売新聞 社会