1月2日
僕の前に僕がいた。
僕はしらない間に彼岸の世界へ行っていた。
もう戻れない。
僕はどうして彼岸の世界へ行ってしまったのだろう。
誰の為?自分の為?
僕は思い出せない。どうやってここまで来たのかを。
僕の前の僕が言う。
「君は何処から来たの?」
「僕は僕だ。君は誰?」
「僕は君。僕らは人の数だけ僕がいる。」
「どういうこと?」
「君の心の君、松村先輩の心の君、哲さんの心の君、お兄さんの心の君、、、、」
「わからない」
「人の数だけ、君を見る君がいるってことだ」
「?」
「君は自分の心の君しか見えていない。人の心は君が思う程奇麗なものではないよ」
「そんなことない!」
「君は騙されている。そして君を騙す人も騙されている」
「違う!」
「君は自分の信じる道をどうして進むのかい?」
「僕は頑張って成功する為に信じる道をばく進するんだ!」
「たしかにそうかもね、でも成功してどうするんだい?」
「せ、成功して、、とにかく夢を実現させる為にはお金が必要なんだ!」
「お金?お金で何をする?」
「お金で、、、お、お金があれば夢が買えるんだ!南の島へ別荘を建てるんだ!」
「それが君の夢?」
「、、、、、、、、、、。」
「君はまだ若いんだよ。自分の夢も設定できず目先の利益に目が眩んでいるだけ」
「違う!」
「君は自分しか見えていないのに、他人からの君の目を気にしすぎて、自分自身を見失っている。君は自分で思うほどカッコ良くない」
「だから僕はクレスタスーパールーセントを買うんだ!」
「物質的満足で君は十分なのか?君の望む夢や成功とは物質的満足なのか?」
「違う!僕は人と人の輪を大切に頑張っているんだ!人は一人では生きていけない!だからお題目を唱えるんだ!」
「それが君の解決策か?君にはそれしか思い付かないのか?」
「、、、、、、、、、、、、。」
目の前の僕は僕の前から消えてゆく。
目の前に一人の中年が現れた。
「下着は一枚かい?」
それは池田先生だった。
「下着は一枚かい?」
池田先生は陽子さんを襲った。
僕は何も出来ない。動けない。
僕は渾身の力を込めて池田先生と陽子さんを引き離した。
「師である私が迫害を受けている。仇を討て。言われたら、言い返す。
打ち返す。切り返す。叫ばなければ負けである!」
「?!」
「私の仇を討つのは、創価同窓の諸君だ!」
「僕が敵?」
僕は逃げ出した。
青年部の人たちが僕を追いかける。お題目を唱えながら追いかける。
僕は捕まった。
「あぁぁん、ごめんなさいぃぃ」
僕はギロチンにかけられる。
皆が僕を嘲笑う。
「いやだ、僕はこんな死に方は嫌だ!」
罵声が飛ぶ。地獄へ落ちろと。
この声はあの祖母の葬式で浴びた罵声。
お母さんはいない。
僕は渾身の力を込めて逃げ出す。
ギロチンから逃げ出す。
僕のかわりに知らない誰かがギロチンにかけられる。
さっき僕を追いかけてきた人だ。
僕は叫ぶ。
「恐いだろう!思いっきり恐いだろう!うんと怖がるんだ!」
僕は逃げる。
逃げる事も必要である。
しかしべいていの攻撃は止まない。
兄がいる。
母がいる。
そして父がいた。
父は苦しんでいる。
大きな石が父の足を挟んでいる。
母と兄は僕を捕まえ、父から引き離す。
母は言う。
「お父さんはもういないの。遺骨も解らないの」
「だったらなぜ父の墓があるの?」
父の墓に兄は花を置く。
僕は父の顔を知らない。
「こうやって心の中にある事を再認識するんだ」
兄はそう行って夜の都会へ消えた。
母は涙を流す。
「春樹、あんたもハタチじゃけえ、もっと自分で考えて行動しんさい」
「うん」
僕は手に持っていた金村のおばさんの手紙を墓に添えた。
僕は彼岸の世界にきてしまった。
その自覚が僕の心を揺さ振る。
でも、後悔はしない。
彼岸だからこそ得られる物がある。
人と人の調和。価値観の共有。
人は一人では生きていけない。
だから僕らはお題目を唱える。
そしてAmwayの素晴らしさを伝える。
そして、この素晴らしい彼岸の世界が広まれば、みんなが幸せになれる。
争いなどない素晴らしい幸せの世界が。
松村先輩がやってきた。
「春樹、アムウエイがんばらなあかんで!」
「うん、お父さん」
陽子さんがやってきた。
「春樹君もお兄さんみたいにお金持ちになると可愛い彼女出来るわよ」
「うん、お母さん」
池田先生がやってきた。
「勝利は、強くなければ勝ち取れない」
「はい!先生!」
此岸の世界で僕を皆が笑っている。
でも、本当に幸せになるなら、彼岸の世界へくるべきなのだ!
皆はそんな僕らの幸せに嫉妬しているだけ。
でも僕らは人を選ばない。来るものは拒まない。
僕らとともに幸せになろう!
ありがとう
ありがとう。