2010年11月1日14時3分
「中国漁船が衝突してきたのは明らかだった」――。1日午前、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の記録ビデオを視聴した国会議員たちは、こう口をそろえた。国民への公開を求める声もあるが、中国との関係はぎくしゃくしたまま。政府は公開する姿勢を見せていない。
海保が撮影したビデオを見た議員たちの証言で中身を再現した――。
9月7日午前10時15分ごろ、尖閣諸島・久場島の北北西約12キロの東シナ海。ビデオは洋上に停船していた中国漁船「ビン(門がまえに虫)晋漁5179」(166トン)が、クレーンで網を巻き上げる場面から始まる。
巻き上げを終えた漁船は、エンジンを吹かすと巡視船「よなくに」(1349トン)の左後方部にむかって動き出す。
両船の距離は「約50メートル」。
漁船は途中でエンジンをさらに一段あげ、「ピューッと突っ込んできた」。
漁船の船首がほぼ直角に、「よなくに」の左舷後方に衝突。同17分。「ゴーン」という鈍い金属音が響く。「ぶつかってきたというよりは、押しつけてきた。寄ってきて、まともにぶつかったというよりは、押しつけてかすっていった」
「挑発的な動きをみせています。あっ、本船に当ててきました」。撮影していた海上保安官のナレーションが入る。
漁船はそのまま、「よなくに」の後方を通って右舷側へと逃げる。黒煙を上げ、スピードを上げる。巡視船から中国語で「とまれ」「逃げるな」と呼びかける。
次の衝突シーンは午前10時56分。
逃走する漁船の左側を、巡視船「みずき」(197トン)が並走していく。両船の距離は近い。「ジャンプすれば飛び移れるかも」と思えるほどだ。サイレンが鳴り響く。巡視船は「止まりなさい」と警告を続ける。
「漁船が突然、左にかじを切って」、「みずき」に斜めに近づき、右舷にぶつかった。