ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土・国後島を訪問したのを受け、北方領土対策を担当する末松義規副内閣相が7日、北海道根室市を訪れ、元島民ら約80人と懇談した。元島民らは政府の外交姿勢を厳しく批判し、首相らの領土視察を要求。末松副内閣相は「事情が許せば、(ビザなし)訪問を含めてやっていただきたいというのが私の希望」と前向きな姿勢を示した。
千島歯舞諸島居住者連盟の小泉敏夫理事長(87)は「(ロシア側の)暴挙を目の当たりにして、失望感と憤りでいっぱい。国家の主権という最も大切な問題を政府の責任として取り組んでいただきたい」と強調。歯舞群島・多楽島出身の河田弘登志・同連盟根室支部長(76)も「日本は言うべきことを言うべきだ。様子見をしていると足元をみられる」と批判。国後島出身の沢崎文剛市議(67)は「私たちには交渉権はない。(政府から)『(ビザなし交流で)友好を積み上げてくれ』と言われ、(交渉と交流の)役割分担したじゃありませんか。本当に元島民は怒っています」と訴えた。
これに対し、末松副内閣相は、昨年11月に鳩山由紀夫前首相と会談したロシアのナルイシキン大統領府長官が「領土問題は静かで建設的な雰囲気の中で話を続ける用意がある。過剰な圧力は建設的な話し合いの妨げになる」と提案したことから、「政府としても淡々と進めていこうとなったが、(今回の訪問で)ロシアが逆に壊した」などと釈明に追われた。【本間浩昭】
毎日新聞 2010年11月8日 北海道朝刊