ヒル次官補に影のように寄り添う男がいる。韓国系の元政治学者だ。その“ヒルの分身”の訪朝が判明。彼の正体は?そして、米の対北外交の理論的支柱「タカ派的関与」とは一体何か。 ことし3月、1人の日本人が平壌に足を踏み入れていた。川上義博前衆議院議員。北朝鮮滞在は、3月21日から24日まで実に4日間に渡った。どういったコネクションで北朝鮮入域ヴィザを獲得したのか、黒い背後関係は不明だ。 川上義博は、2年前の郵政総選挙で造反組となり、落選。議員バッジを失った後、民主党に鞍替えし、参院選での復活を賭けている。 4月4日、川上は小沢一郎と接触し、朝鮮労働党幹部の言葉をそのまま伝えたようだ。 「東アジアの安定と日朝関係改善の意思がある国会議員がいれば、訪朝団を受け入れてもいい」 メッセンジャーと呼ぶにも値しない。まるでガキの使いだ。 ▽平壌で会談する川上義博(NHK) 3月の訪朝で川上は、日本の立場や、日本人としての意思を示すこともなかった。ただ北朝鮮側の主張を我が国のメディアに拡散しただけである。汚らしいスピーカーだ。 反日浪人・川上義博が平壌で接触したのは、金泰鍾(キム・テジョン)。党中央で対日工作を管轄する幹部で、肩書きは国際部副部長。かなり黒い人物である。 「問題を解決したいとする人物を望む」 ▽川上と会談する金泰鍾(HNK) 何の問題を解決したいか知りたくもないが、金泰鍾は訪朝団団長としてズバリ、山崎拓の名前をあげた。非常に分かりやすい国だ。 【せんせいの夢の再訪朝は潰れたが…】 1月の訪朝後に、せんせい(山拓)は「3月に大きな変化が起こる」と予言したうえで、3月再訪朝を公言していたが…気が付けば、もう4月。そして大変化も起こらなかった。 せんせいも再度、平壌に行きたかったろう。何しろ、一週間もブラックボックスの中にいられるのだ。ちなみに、韓国高官が2月に訪朝した際は、美女軍団が並んでお出迎えしていた。 せんせいも機会があれば、直ぐに平壌に飛んで行いきたいだろう。相手国は「いらっしゃい」と手ぐすね引いて待っている。出来れば、菅直人や加藤紘一、ついでに土井高子&野中広務も一緒に連れて訪朝して頂きたい。その代わり、帰国便はなしだ。 まさか小沢一郎も、川上義博の意向を受け訪朝団をセットアップするとは思えない。世論に抗って訪朝する度胸はないだろう。根性なしである。 ところが、米国は超党派訪朝団の派遣を決定。今週末にも平壌に入る。 4月8日から11日の日程で、団長はニューメキシコ州知事のビル・リチャードソンだ。 ▽画像:NNN リチャードソン知事は、北朝鮮と太いパイプを持つ数少ない大物政治家だ。クリントン政権時代にはエネルギー長官などの要職を歴任。これまでにも5回の訪朝歴がある。いわば米国の野中広務である。 米訪朝団の目的は朝鮮戦争当時の米兵の遺骨収集だが、それは表向きで、CNNによれば北朝鮮指導部と核問題などを討議するという。 米軍機をチャーターして直接、平壌に降り立つ大胆な訪朝だ。 そして、この訪朝団の中にホワイトハウスが重要人物を潜り込ませていることが明らかになった。 【ヒル次官補に寄り添うブレーン】 2月、そして3月に北京で開かれた6ヵ国協議。その際、米国のヒル次官補の背後には、1人のアジア系男性が影のように寄り添っていた。 例えば3月17日、作業部会に会場から出たヒル次官補の左隣。 例えば、3月19日、グレーザーとの共同会見を終えたヒルの真後ろ… このアジア系男性の名はビクター・チャ。6ヵ国協議の米国次席代表、即ちナンバー2ネゴシエーターであり、NSC(国家安全保障会議)のアジア担当補佐官だ。 中華系ではなく韓国系である。 そして、このビクター・チャが、米超党派訪朝団の中に含まれていることが新たに判明したのだ。一部メディアが先立って報じていたが、読売新聞などによれば、ホワイトハウス当局者がビクター・チャの同行を認めたという。 ビクター・チャは、最近の米国の方向転換を理論的に、実務的に支えてきた人物と言われる。いわば、ヒル次官補の頭脳であり、懐刀だ。 つまり米訪朝団には、ヒル次官補の“影=分身”が、含まれていることになる。 ▽3月21日ヒルの左側にビクター・チャ(ロイター) 我が国にとって不気味なのは、ビクター・チャが「親北」とも指摘されていることだ。果たしてこの男、日本の味方なのか、敵なのか? 【韓国系ブレーンは親北派?】 ビクター・チャは対北強硬派とも一部では見なされている。FNN『ニュースJAPAN』では昨年12月の放送で強硬派と断定していた。次席代表として6ヵ国協議に加わることは、我が国にとってラッキーだと指摘していたのだ。 昨年4月、ブッシュ大統領と横田早紀江さんの対面が実現したのも、ビクター・チャの尽力が一因とも言われる。 「良き理解者」であるはずなのだが、まったく相反する情報も出ているようだ。 “米政府部内で親北派と目されている…” あるNSCの関係者は、金融制裁発動という財務省の抵抗を受けた国務省サイドは「最もリスキーな男」を使って打開策を講じたと証言しているという。 その男がビクター・チャで、対北外交で行き詰まったヒル次官補は「リスキーな男」を使って活路を開こうとした… こうした不確かな情報を、額面通りに受け取ることこそ、リスキーだろう。 ▽3月23日、同行するビクター・チャ右側(ロイター) しかし現実には、危険水準に達した米朝関係をブレークスルーする手段として、米国は一気に対話路線に転じた。そして「対話を道を閉ざさない」とするのが、ビクター・チャの持論のようだ。 米朝“雪解け”の画期的な転換は、1月のベルリン会談だったが、その実現にはビクター・チャが、ひと役買っていたという。 【米朝対話を決定した偶然の出会い説】 『朝鮮日報』は、米WP紙を引用して、裏話を伝えている。 「ベルリン協議で米国は北朝鮮に『1カ月以内にBDA問題を解決する』と約束した。ワシントン・ポストはこの協議に関しても昨年12月にビクター・チャNSCアジア担当補佐官が北京空港で、『北朝鮮の関係者と偶然会い、非公式の対話を行った』ことから続いているものだと説明した。 チャ補佐官が核問題での最大の障害だったBDAの北朝鮮口座凍結解除の可能性を口にし、これがベルリンでの協議と北京での6カ国協議につながった」 参照:朝鮮日報2月16日『6カ国協議:ブッシュ大統領、合意内容を直接指示(下)』 北京空港で北朝鮮関係者と偶然会った? エアポートでの立ち話が劇的な変化を呼び起こしたとしたら、それこそ北朝鮮にとって奇跡だ。 またアメリカ大名旅行で金桂冠が参加したNYのセミナーにも出席していた。金桂冠とは何語で話したのか? ▽韓国系セミナーに参加した金桂冠(毎日) 参照:毎日新聞〜金桂冠がコリア・ソサエティー主催の非公開セミナーに出席 どうもビクター・チャに関しては、胡乱な情報ばかりが出てくる。 それでも、米朝ベルリン会談でビクター・チャが重要な役割を果たしていたのは、確かだ。今や伝説となったヒル・金桂冠の中華料理店会談にも参加していた。食後、上機嫌で店を出るヒルを捕らえた映像にも、ビクター・チャは映り込んでいた… 法執行で北に打撃を加える財務省と、得点が欲しい国務省。その間に割って入り、調整を続けているのが、NSCだと言われる。そこで、ビクター・チャがキーパーソンであることは間違いない。 【対北政策「タカ派的関与」とは何か】 ビクター・チャが登用されたのは、ブッシュ政権の第2期がスタートした2005年1月。補佐官としては、アジア上級部長マイケル・グリーンの部下にあたる。ちなみに、駐韓国大使だったクリストファー・ヒルが国務次官補に抜擢されたのも、この時だ。 ▽画像:ビクター・チャHPより NSCに入るの前のビクター・チャの肩書きは、名門ジョージタウン大の助教授。朝鮮半島の専門家で、知日派とも分析されていた。そこでホワイトハウスが注目したのは、共同執筆した一冊の研究書だった。 『Nuclear North Korea: A Debate on Engagement Strategies』 2003年11月に出版された政策理論書で、そこに現在のブッシュ政権の対北政策と密接に関係する独自理論が登場している。 「タカ派的関与」(hawk engagement) 実に重要な概念に思えるが、日本では今に至っても殆ど論じられていないようだ。 「タカ派的関与」を、ひと言で表現すれば、米国は北朝鮮の核問題を傍観せず、強力に介入して解決に導くが、その過程では交渉も必要… ソウル大のシン・ソンホ教授は、こう解説している。 ブッシュ政権の対北朝鮮政策は、米国家安全保障会議(NSC)韓半島(朝鮮半島)政策担当者であるビクター・チャ博士が主張するタカ派的関与戦略を基調としている。 この戦略は、ひとまず米国がもう一度北朝鮮と誠実に交渉に臨むことを提案している。しかし、それは北朝鮮を信頼するというよりも、北朝鮮が交渉に応じなかったり、またしても欺まん的な態度を見せた場合に、強力な圧力を行使する名分を確保するためのものだ。 参照:朝鮮日報7月5日【特集】岐路に立つ韓国の対北朝鮮政策 なかなか興味深い。しかも、この解説が『朝鮮日報』に掲載されたのは、ミサイル乱射が起きた日だ。本旨とは無関係だが… 【4月15日に懲罰連合が誕生する?】 「タカ派的関与」のアウトラインについては、『朝鮮民主主義研究センター』が同書の概要をまとめ、一部を訳出している。 参照:朝鮮民主主義研究センター05年02月20日『ビクター・チャの「タカ派的関与政策」論』 そこに面白い表現も紹介されていた。 今日のアメは最も効果的な明日のムチとして使える。アメを取りあげること自体が効果的なムチとなるからだ。(上記サイトより) 更に「関与」は「懲罰連合」形成の最善の方法…とも訴えている。イメージだと、こうなる。 他国間交渉→合意→不履行→懲罰 「タカ派的関与」理論で行けば、北朝鮮が合意を反古にした瞬間、米国は強硬策に打って出る。大義名分をゲットできるからだ。 しかし、ヒルやライスに深謀遠慮があるとは、贔屓目に見ても思えない。弱腰姿勢のまま北朝鮮ペースに引き込まれていく予感がする。 2・13合意に刻み込まれた60日以内の初期段階措置履行。そのタイムリミットは、4月14日。 あと10日を切っている。その日までに黒鉛減速炉などを完全停止し、IAEA査察官の受け入れ態勢を整えなければ、ご破算である。 履行は困難との見方は日増しに強まり、4日には、武大偉までも「無理っぽい」と白状している… カウントダウンが遂にゼロになり、合意不履行が明白になった時、それでも米国は折衷案を出して北の懐柔に取り組むのか、或は「タカ派的関与」理論に基づいて強硬策に打って出るのか? ビクター・チャが、親北派か否か…その時の対応如何で本当の顔が見えてくるだろう。 国際社会が注視しているのは、核施設の封印ではなく、北朝鮮という国家が悔い改め「約束を守れる国」になったかどうかである。 先延ばしすることは、もう許されない。北朝鮮に与えられたモラトリアムは、来週末でジ・エンド。 合意不履行なら4月15日から即刻、懲罰だ。 〆 最後まで読んで頂き有り難うございます♪ クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります ↓ |
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しかし次々と出てくるもんですなー。 |
駱駝 2007/04/06 13:56 |
朝鮮日報は6日、リチャードソン州知事の8日訪北について、「大統領補佐官が直接同行するのは決して見過ごすことはできない」と書き、 |
名無しの経営者 2007/04/06 15:32 |
お久しぶりです。こんにちは。 |
蓮華 2007/04/06 17:30 |
鳥取の県議たちは拉致問題が発覚する前から北朝鮮を訪問している。境港と元山は友好都市だった。理由はカニ漁のため。今後も鳥取の議員の動きに注意しなくてはならない。 |
たけしま返 2007/04/06 21:36 |
>駱駝さま |
アネモネ 2007/04/06 21:57 |
4月15日がタイムリミットの日ですか?でも、武力に拠る懲罰だけは止めていただきたい。飢えた物乞い武装難民がわらわら散らばりそうで、恐ろしいです。大きな石(体制金)をめくったら、裏に一杯蟲がへばりついていて、石を持った手を伝って、体中に伝わって来た感じ。抽象的で済みません。ビクター・チャなる者が何を意図していようが、拉致問題を抱える日本人としては、日本人に費用拠出を迫らぬ限り、お好きにすれば?と言う気がします。『朝鮮人は、約束を守らない。核は、絶対手放さない。いつか必ず、日本人に対して使用される』。この見地から、粛々と国内体制を整えるのが宜しかろうと。韓国映画『ムクゲの花が咲きました』を、ご存知ですか?韓国の大統領が、北朝鮮と協力して日本の各都市に核爆弾を投下する映画です。「東京は、大きいから三倍落とす」。韓国の映画館では大歓声が上がったそうです。その年の韓国の「良い映画」に選ばれたそうです。いよいよ、現実味を帯びました。相手は、核武装国家です。遠慮はいらないです。防衛省はラプター導入を決定しましたよね。確か、マルチロールファイターですよね。続きます。 |
神谷晃良 2007/04/07 00:40 |
物凄い妄想ですが、ラプターに小型の核を搭載すれば、強力な戦略兵器になりませんか?核実験が必要だろう。って?日本の場合、「撃ってみりゃ判るでしょ?一本逝っとく?」のスタンスではダメですかね?北朝鮮も、200倍の国力を持つ日本から、独自の小型核を突きつけられたら、拉致被害者を返そうという気にもなりませんかね?物凄い暴論ですけれど。日本の為の、核報復抑止力が機能していない事が判った今、(大馬鹿者のマイク・ヒュンダイ、歴史に名を残せ!)核武装が、拉致問題解決の一つの有効手段の様に思えてなりません。国内テロの抑止力にもなりませんかね?実際、核を撃てるかどうかは又、別の問題です。「今の日本人なら、本当に核を撃って来るかも知れない」と、思わせる日本人になる事が極めて重要になります。日本人の「心・在り方」を変える。重要なテーマだと思っています。暴論過ぎて済みません。祝!ラプター導入決定。此れは最早、国家国民の格式の問題。高い安い、使う使わないは別問題だと思います。それより、売ってくれるかな?スパイ防止法、機密情報保護法などの法整備が急がれます。 |
神谷晃良 2007/04/07 01:03 |
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