和歌山

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憲法9条:翻訳に仏大使返信 平和への道のり、一歩--みなべ「九条の会」 /和歌山

 ◇「日本と共に努力」

 ◇戦争出前噺・本多さんの遺志継ぎ

 憲法9条のフランス語訳などを駐日仏大使あてに郵送していたみなべ町の市民団体「みなべ『九条の会』」に対し、1日付で返事が届いた。代表世話人で5月に96歳で亡くなった旧日本兵の本多立太郎さんの遺志を継ぎ、会が9月に送っていた。メンバーは「片田舎の手紙は無視されるかもしれないと思っていたので感激した。平和への道のりにつながれば」と話している。【久木田照子】

 9条の翻訳は本多さんが生前に書いたメッセージとともに郵送。返事はフランソワ・グザビエ・レジェ仏臨時代理大使名で、「フランスは平和を守ることを重視し、戦争の予防や、各国間の対話による紛争の解決を外交の優先事項に掲げている。日本と共に、この目的に向けた努力を積極的に続けたい」などと書かれていた。

 第二次世界大戦下の従軍体験などを「戦争出前噺(ばなし)」として全国で語った本多さんは晩年、外国の街角で9条の翻訳を市民に手渡して語り合おうと考え、最初の訪問地・パリへ行く準備中、果たせず亡くなった。

 手紙は、7日に同町芝の南部公民館であった本多さんをしのぶ会で披露された。県内外の約90人が参加した会では、生前の映像を交えて10人以上がその生き方を語った。

 岩本明博・元南部川村(現みなべ町)教育長は、本多さんが大阪府から同町に移住した時のことや、町内の被爆者を取材した逸話を紹介した。同府富田林市の牧師、佐伯晴郎さん(83)は02年、同市で出前噺を聞いて意気投合。本多さんを車に乗せて東北から九州まで同行し、「具体的で分かりやすい話で、聞き手は新しい生き方が開けるような思いがした」と振り返った。

 みなべ「九条の会」で共に活動した池田真作人さん(51)は、「中国との外交問題などが論議される今、本多さんが訴えたように『我々は戦争放棄した国』と宣伝する好機だ。我々に残された宿題と受け止めたい」と語った。

毎日新聞 2010年11月9日 地方版

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