赤木智弘の眼光紙背:第157回
これまでのような流出事件であれば、P2Pなどに責任をおっかぶせ、官公庁は意図無き被害者の立場を貫けたのかもしれないが、今回の流出は、明らかに意図的な流出である。官邸内には「衛星通信で飛ばした映像データを北朝鮮に盗まれた」(*2)という、官公庁を被害者としたい見方もあるようだが、それがトンチンカンな擁護であることはいうまでもない。
すごく単純にいえば「もったいない」のだ。これだけの大ネタを流出させながら、そこになんら主張を絡めないというのは、すごくシャイな人なのか、単なる憶病者なのか。どちらにしても、これだけ衆目を集めることをしながら、なぜ沈黙してしまうのだろうか?
今からでも遅くはないので、ビデオを流出させた人は、堂々と名乗り出て、自らの意図を明確に語るべきである。逮捕されたり、身動きが取れなくなる前に、自らの言葉を信頼のおけるジャーナリストにでも語り、日本社会に楔を打つべく記録してもらうべきである。
仕事は辞めなければならないし、ちょっとした前科はつくかもしれないが、今後の生活については、私が好きではない類の団体の人達が支援してくれるだろう。さすがに彼らも、彼らにとっては重要であるビデオ映像を流出させた人間を、あっさり見捨てるような卑劣漢ではあるまい。
現状では暴露でしかないビデオの流出を、要件を積み上げて告発に昇華させることだけが、今回の流出の正当性を主張し、国が負ったダメージを回復する、唯一の手段なのだ。
その手段をとらない限り、流出させた人に対して私は、機密のビデオをおもしろがって流出させ、何の責任もとらず傍観しているだけの幼稚な人間。という、残念な評価を与えるしかないのである。
追記:
これを書いた後に、海上保安庁の職員が、流出させたことを上司に名乗り出たというニュースがあった。
これだけ大きな問題を起こしながら、なにも公に主張せず退場しようとしている。
結局、この人は何らかの信念をもってビデオを流出させたわけではなかったのだろう。
*1:尖閣ビデオ 埼玉・川口駅前にDVD放置(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101105-00000020-maip-soci*2:【尖閣ビデオ流出問題】「倒閣運動だ」と危機感 統制力なき政府、崩壊寸前(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101105/plc1011052346021-n2.htm