きょうのコラム「時鐘」 2010年11月10日

 革命と一揆の違いは何か。成功した後のことを考えるのが革命、後のことを考えないのが一揆だとの解釈がある

首相になることだけを考え、首相になったら何をしたいかを考えていなかったのが菅首相と評されている。相次ぐ難問に直面する首相には、平成維新を叫んだ「革命政権」リーダーの面影はない。一揆の親方程度だったのかと先の話を思い出す

政権奪取のため野党時代に掲げた公約は次々とレベルダウンさせ、政治とカネの問題にも言葉を濁す。重大な関税問題が降って湧いたように出てくる。こうした、一揆のような出たとこ勝負を危ぶんだのが、支持率低下を顕著に示した先の世論調査ではなかったか

今週末、横浜のAPECに世界の首脳が集まる。ファーストネームで呼び合うのがトップの親密度を測るバロメーターになっている。だが、ころころ変わる日本のトップの名は覚えきれず「日本の首相」としか呼ばれないケースが目立つという

今回も「日本の首相」と呼ばれそうだが、念願かなって首相の座にある菅さんである。「日本の首相」と呼ばれればそれで十分満足なのかもしれない。