狭窄した歯槽骨堤に対しては、リッジエキスパンジョンやスプリットクレストなどのテクニックが応用される。しかし、それらのテクニックにおいては、専用の器具を適用するために少なからず既存骨を削除してパイロットホールを形成する必要があり、器具を使用する段階では周囲骨がほとんどないというケースも少なくない。 本稿では、既存骨の削除を最小限に抑えてインプラント床を形成する方法として、特に骨量の乏しい日本人の顎骨に焦点をあてて、狭窄歯槽骨や脆弱な骨質に対して既存骨を最大限に利用したインプラントの埋入術式を報告する。
インプラント埋入時において、インプラント表面とインプラント周囲の骨壁までにインテグレーションが生じ得る間隙をCritical Gap(臨界間隙)とし、その間隙量(距離)によって間隙部の骨修復メカニズムを3つに大別した。それら3つの骨形成メカニズムの分析と、その後のインプラント周囲骨に起こる経時的変化を多くの医科系歯科系文献を基に解説する。