2010年11月9日0時2分
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群馬県桐生市の市立小学校6年、上村明子さん(当時12)が10月23日に自宅で自殺した問題で、学校側は8日に記者会見を開き、学校で明子さんへのいじめがあったことを認めた。市教育委員会は再発防止策を明らかにした。学校の校長らは明子さんの両親に謝罪。だが、いじめと自殺との因果関係は認めず、「なぜ認めてくれないのか」と、両親はいっそう不信感を募らせた。
明子さんの両親は「自殺の原因はいじめだ」と訴えていたが、学校側はこれまで「学級内の人間関係に問題はあったが、いじめがあったとは認識していない」と記者会見などで説明していた。
その理由について市教委は、明子さんが普段から一人でいることが多く、他の児童から明子さんを拒否するような発言があったことを学校が把握していなかった、と説明。見解を転じたのは、全校児童を対象にアンケートや聞き取りをした結果、複数の児童から明子さんに心ない言葉が投げかけられていたことが判明したため、とした。
市教委はこの日、学校が提出した報告書に基づき、学校でいじめがあったことを臨時教育委員会で報告。報告などによると、明子さんの学級は今年度、1学期の後半ごろから「学級崩壊」状態になり、担任の女性教諭ら教職員が指導しても改善できなかった。
そんな中、明子さんは「くさい」など心ない言葉を複数の児童から投げかけられたり、気が合う仲間同士が食べるようになった給食を一人で食べたりしていた。
アンケートなどでこうした明子さんの姿が浮かび上がり、学校は明子さんへのいじめを認めるに至った。一方で「明子さんの自殺は予測できず、直接的な原因は特定できなかった」として、いじめと自殺との因果関係は認めなかった。
学校の今後の対策として、市教委は(1)相談体制の充実や学校生活アンケートの定期的実施(2)道徳の時間の活用(3)授業中の児童指導の充実(4)保護者との連携(5)地域との連携(6)教育委員会との連携、などを発表。市教委も学校カウンセラーの増員や対応マニュアルの作成などを図るとした。