1953年、高校1年でデビュー。「零士」という筆名には「無限大の侍」という意をこめた。当時は、漫画が今ほど市民権を得ていない時代。「刀をペンに持ち替えた終わりなき浪人。そんな覚悟がないと、漫画家になれませんでした」
「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」など数多くの作品をヒットさせた。今もネット上で漫画を連載。「テレビやネットなど新しいメディアにかかわれたのは幸せです」
「漫」という字は「みずみずしく、日のごとく温かい目を表す」と説明する。「この目は若者の目。僕は生涯かけて一つの世界を作り上げているように思う。エンディングのカーテンコールはまだです」【内藤麻里子】
「人との出会いに心から感謝しています」。19歳で芸能界入り。品のよい美しさと親しみやすさから一躍、大スターになった。主演した映画は約150本にのぼる。
「4本掛け持ちしたこともありますが、忙しい方が楽しい。撮影所で育ち、人生を学びました」と振り返る。その口からは、成瀬巳喜男、小津安二郎の両巨匠をはじめ、仕事をともにした監督や俳優の名前がとめどなくあふれた。「いろいろな人物を演じられて、こんなに魅力のある仕事はありません。受章を機に、過去の名作を見てもらえたら、うれしいですね」
舞台も57作に出演した。今はこちらが中心だ。美形と演技力はいささかも変わらない。【鈴木隆】
毎日新聞 2010年11月3日 東京朝刊