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【北陸発】

双子ママ 負担ずしり 虐待感情 単胎児の2倍に

2010年11月9日

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石川県立看護大の教授調査

 双子の乳幼児を育てる母親が「子どもを虐待している」と感じている割合は、一人の子を育てる母親の倍に上ることが、石川県立看護大の大木秀一教授らの調査で分かった。多胎児家庭の意識に関する全国規模の調査は初めて。双子の育児で心理的負担も高まることが、浮き彫りになった。多胎児家庭への支援は全国的に乏しく、充実が求められる。(奥野斐)

 大木教授らが多胎児支援にかかわる十都府県の当事者団体と全国組織の協力を得て今年一〜九月に調査。双子の育児にかかる負担や出費、虐待意識、父親の育児・家事参加率などを聞いた。このうち三月までに回答があったゼロ〜六歳の双子を育てる家庭三百十二世帯分を集計し、厚生労働省や日本小児保健協会の全国調査と比較した。

 一人で生まれた単胎児の母親との差が最も大きいのは虐待の意識。「子どもを虐待しているのではないかと思ったことがある」と回答した人は、二〜四歳の双子の母親で40%以上を占め、すべての年齢で単胎児の親のおよそ倍だった=図1。

 双子の子育てにかかる費用は、年齢とともに上がり、五歳児では回答項目で最高額の「一カ月に五万五千円以上」と答えた世帯が約半数(単胎児は約20%)と、全体的に経済負担が大きい=図2。双子家庭の母親は身体的な疲れを感じやすく、その分、父親の育児、家事について「よくやっている」との回答が育児約60%(同約40%)、家事約30%(同15%)と高かった。

 不妊治療の普及に伴い、排卵誘発剤の使用や、二つ以上の受精卵を子宮に戻すことが多かった影響などで、双子など多胎児は一九九〇年代から出産が増加。現在、母親の約百人に一人が双子を出産する。未熟児や障害がある子が生まれる確率も高まる。育児への精神的、身体的、経済的な負担が、虐待感情などを誘発する背景になっている可能性がある。

 大木教授は「多胎児を育てる家庭は、さらに支援を必要としていると推測される。来春にもまとめる報告書を自治体の支援に役立ててもらいたい」と話している。

 

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