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パンとペン 黒岩比佐子著 社会主義者の「売文」生涯発掘

2010/11/7付
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 「売文」というのは文章を書いて生活を立てることである。近年あまり使われないのは、「広辞苑」の解説にもあるように、「多くそれをいやしめ、または卑下していう」からだが、いまから100年前の明治末期には堂々と「売文社」という看板をかかげ、広告や借金の依頼など、あらゆる文章を請け負った人物がいた。社会主義者の堺利彦である。そのときの宣伝文句は「パンとペンの交叉(こうさ)は即(すなわ)ち私共が生活の象徴であります」というのであった。

(講談社・2400円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

 売文社については、従来ほとんど研究されていないが、本書は時間をかけて調べあげている。その本質は弾圧のきびしかった冬の時代に、社会運動家たちが肩を寄せ合って支え合う生活の場で、堺が置かれていた立場は、まさに大石内蔵助だった。大逆事件のあと、血気さかんな青年たちの暴発をおさえ、生活のめんどうを見ながら、運動の再興を図ったからで、これは人望家でユーモアの豊かな堺でなければ、けっしてできないことだったと著者はいう。

 売文社はまた出版プロダクションや翻訳エージェンシー、広告代理店などのさきがけでもあった。雑誌原稿のほか、書簡や演説の草稿、自伝談話の筆記、カタログのデザイン、インデキス(索引)の作成、英文教科書の翻訳などのほか、「浮世顧問」という身の上相談まで引き受けた。さらに語学が得意だった堺は、ジャック・ロンドンの『野生の呼声』ほか多数の欧米作品を翻訳したり、外国のガイドブックを手がけたりしたが、一度も海外へ行ったことはない。政府からパスポートが下付されなかったからだ。

 著者は東京・神保町の古書市場から、精力的に近代史関連の文献を収集していることでも知られる。その成果は、堺が女性解放運動の先駆だったことを、雑誌記事から丹念に発掘していく個所にも生かされている。

 戦前の思想運動史は複雑で、とかく肩がこるものだが、重厚なテーマを軽妙に、小さな記事を大きな発見に結びつける手法が、堺利彦という人物を、生き生きと蘇(よみがえ)らせることに成功し、さわやかな読後感をのこす。

(評論家 紀田順一郎)

[日本経済新聞朝刊2010年11月7日付]

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パンとペン 黒岩比佐子著
社会主義者の「売文」生涯発掘

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