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映像流出、刑事罰に疑問の声も 「秘密性」立証に難しさ

2010年11月8日17時6分

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 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に関する映像がインターネット上に流出した問題で、検察当局が捜査に乗り出した。ただ、映像の一部はすでに国会で明らかにされており、流出させた人物が特定されても刑事罰を科す必要があるのか疑問の声もある。

【写真特集】尖閣ビデオ流出

 福岡高検が主体となる捜査班の初めての会議が8日午前10時から最高検であった。その後に勝丸充啓・最高検公安部長が記者会見を開いて、「国家公務員法の守秘義務違反容疑での捜査着手を指示した」と発表。「サイバー犯罪であり、証拠保全の観点から、早期に着手する必要があった」と説明した。

 捜査は秘密で進むのが通常で、捜査開始を宣言すること自体が、異例のことだ。捜査を急ぐのは、7日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開幕したこともあり、対外的に捜査している姿勢を示さなければならない事情もあるようだ。

 検察幹部の一人は、「捜査して仮に容疑者を起訴すれば、秘密性をめぐって公判で問題になるだろう」と、難しさを認めている。

 最高裁は過去に出した決定で、国家公務員法の守秘義務の対象について、各省庁が「部外秘」などと形式的に秘密扱いしただけではなく、実質的に秘密として保護するに値することを求めている。

 今回流出した映像について、勝丸部長は「海保が撮影し、国家公務員が保管しているものだから、秘密にあたる」とだけ説明した。

 犯罪捜査という公用で那覇地検に提出されたうえ、刑事訴訟法により公判前の証拠の公開も禁じられていたが、映像の一部は衆参両院の理事らに上映された。「公益上の必要があれば公判前でも証拠を公開できる」とする例外規定が刑事訴訟法にあるためだ。

 別の検察幹部は、「国民の目線から見れば、映像が明らかになったのはいいことで、法律家の見方と違う面がある。流出させたのは正当な行為とみることもできるのではないか」と語った。

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