2010年11月9日11時26分
菅内閣は9日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について「関係国との協議を開始する」と明記した包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定した。関税を原則撤廃するTPPに参加すれば国内農業に打撃となることが予想されるため、菅直人首相は同日の閣僚懇談会で、農業予算に関する4大臣会合(議長・玄葉光一郎国家戦略相)の設置を指示した。
農業予算の4大臣会合は、玄葉氏と仙谷由人官房長官、野田佳彦財務相、鹿野道彦農林水産相で構成し、2011年度予算での戸別所得補償制度などについて検討する。
菅首相は閣議で「農業再生を念頭に置きながら『国を開く』という我が国のあり方にとって重大な基本方針だ」と強調。TPP参加の判断時期について、仙谷氏は閣議後の記者会見で、首相を議長として新設する「農業構造改革推進本部」が農業対策の基本方針を決める来年6月前後になるとの見通しを示した。
基本方針をまとめた玄葉氏は閣議後会見で、2国間で貿易やサービスの自由化を進める経済連携協定(EPA)について「積極的に推進する。韓国とも(交渉を)早期に再開し、妥結を目指す。豪州とも早期の妥結を目指す。間違いなく農業の構造改革が迫られる」と述べた。
一方、TPP参加に難色を示してきた鹿野農水相は会見で「私自身の考え方は相当今回の方針の中に盛り込まれた」と語った。