2010年11月9日4時57分
ドイツ北部で7日、放射性廃棄物の輸送に抗議して線路に座り込む反対派=AP
反対派の抗議の中、輸送される高レベル放射性廃棄物=ロイター
【ベルリン=松井健】フランスからドイツへの高レベル放射性廃棄物の輸送に抗議する反対派の妨害が激しさを増し、目的地のドイツ北部ゴアレーベンの中間貯蔵施設への到着が大幅に遅れる事態になっている。廃棄物を運ぶ列車は8日、施設最寄りのダンネンベルク駅に到着し、車両への積み替えを始めたが、施設への約20キロの道路には多くの人たちが座り込んでいる。
ドイツの原発から出て、フランスで再処理された使用済み核燃料は5日にフランスを出発し、6日にドイツ国内に入ったが、各地で線路への座り込みなどが相次ぎ、ドイツ警察は2万人を動員し、8日未明には夜を徹してダンネンベルク近辺で約3千人を排除した。DPA通信によると、排除には警棒や放水器が使われ、けが人が出ているという。
メルケル政権は9月、国内の原子力発電所の延命を決めたが、4万〜5万人が参加したとされる今回の大規模な抗議は原発政策転換への反発の強さを改めて示した形だ。