人間にウインカーなど自動車の仕組みを付けたら、歩くのに便利なのではないか? そんな斬新な発想による研究がこのたび、神戸大学の塚本教授の研究チームより発表された。
このシステムは、混雑している道や狭い道を歩くのを補助するもの。例えば、狭い道で人間同士がすれ違うとき、両者が同じ方向に避けて慌ててしまうことがある。そういう悩みを解決できれば......というのが研究意図だ。
背中や胸にランプやセンサーが満載のジャケットを着て、「wiiハンドル」をもって歩く。頭にはヘッドマウントディスプレイをつけ、足には「wiiリモコン」をつける。使い方は車の運転そのもので、「wiiハンドル」を傾けるとジャケットのウインカーが光り、自分が曲がる方向を周囲に報せることができる。その様子は、少々厳つい。
ボタン操作でハザードランプをつけたり、クラクションを鳴らすこともできる。さらにヘッドマウントディスプレイには歩行速度や背後の様子が表示され、まるで車を運転しているかのような気分で散歩ができる。
ゲームの装備のようなジャケットを身につけて体験すると、これまでにはない空間認識の感覚が味わえる。体験した来場者は「無意味に面白い。なんだか強くなった気がする」と述べていた。
「自動車メタファを用いた歩行者情報提示システム」
佐々木裕昭,矢高真一,岡田智成,寺田 努,塚本昌彦(神戸大)
発表:エンターテイメントコンピューティング2010
(伊豫田旭彦/ニコニコ学術チャンネル)