「尖閣・小沢国会」大荒れ 野党、閣僚問責決議案も視野
尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を撮影したとみられる映像が流出したことを受けて、野党は小沢一郎民主党元代表の国会招致などと絡め、12月3日の今国会会期末に向けて、菅直人政権への攻勢を強める構えだ。海上保安庁を所管する馬淵澄夫国土交通相の問責決議案を参院に提出すべきだとの声も出始めた。自民党はさらに、平成22年度補正予算案以外の法案や国会同意人事案について審議拒否も含めて抵抗していく姿勢をちらつかせており、国会が大荒れになるのは避けられない。
◆「予算案審議に支障」
与野党は補正予算案について、8、9の両日に衆院予算委員会で審議することで合意している。ただ野党各党は5日、小沢氏の国会招致に対する回答を8日の衆院予算委前に行うよう、民主党に求めることで一致した。
その後、自民党の逢沢一郎国対委員長が民主党側に野党の意向を申し入れたが、民主党側は小沢氏の国会招致は「困難」と回答。逢沢氏は「今後の予算案審議にいろいろ大きな支障が出てくる可能性は排除できない」と牽制(けんせい)した。
民主党は補正予算案を10日に衆院通過させたい考えだが、野党は映像流出問題や小沢氏の国会招致などで反発を強めており、困難な情勢になってきている。
自民党では5日午前の総務会で、谷垣禎一総裁が「ビデオの全面公開を厳しく迫っていく。小沢氏の証人喚問の実現へ徹底していきたい」と表明。出席者からも「自民党政権下で起こっていたら、即担当閣僚のクビを差し出さなければならなかった」「野党が審議拒否をしてもおかしくない話だ」などと、菅政権を徹底攻撃すべきだとの意見が続出した。
総務会を受けて、自民党は5日の衆院予算委理事懇談会で、補正予算案の採決前に映像流出問題の集中審議を開催するよう求めた。同党は他の委員会でも映像流出問題を徹底的に追及していく方針だ。
◆「罷免に値する」
野党側からはまた、馬淵氏の責任を追及する声も相次いだ。自民党の石原伸晃幹事長は「罷免に値するんじゃないか」、みんなの党の渡辺喜美代表も「トップの責任が問われるというのが筋だ。問責決議案提出も責任の取らせ方の一つではあろう」と述べた。
野党側は今後、馬淵氏だけでなく、中国漁船衝突事件で中国人船長を処分保留で釈放した問題をめぐり、柳田稔法相の問責決議案提出なども再検討するとみられる。
さらに、自民党は国会同意人事案や他の法案審議にも揺さぶりをかける構えだ。同党参院幹部は「任期が過ぎているにもかかわらず提示が遅れた理由の明確な説明がない」と、政府の同意人事案を批判した。
国会同意人事は参院で否決されれば不同意となる。他の法案は参院で否決されても、衆院で3分の2以上の賛成で再議決すれば成立するが、与党の民主、国民新両党だけでは3分の2に届かないのが現状だ。
また、参院で野党が審議引き延ばし戦術をとった場合は、12月3日までの会期を延長せざるをえない事態が予想される。
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