民主代表選:小沢氏、議員票が誤算 再浮上うかがう

2010年9月14日 22時10分 更新:9月15日 0時31分

民主党代表選を終え、会場を後にする小沢一郎前幹事長=東京都港区のホテルで2010年9月14日、藤井太郎撮影
民主党代表選を終え、会場を後にする小沢一郎前幹事長=東京都港区のホテルで2010年9月14日、藤井太郎撮影

 民主党代表選で予想外の大差で敗北した小沢一郎前幹事長。党員・サポーター票で菅直人首相に大差をつけられたことに加え、勝ちを見込んでいた国会議員票でも敗北を喫したことは大きな誤算だった。それでも、国会議員票を200人の大台に乗せたことで、党内で一定の影響力を保持するのは確実だ。当面は党内基盤を固め直し、10月にも予想される検察審査会の再議決に備えるとみられる。

 小沢氏は14日夕、国会内で開かれた支持議員の会合に顔を出し、「結果は敗れたが、大勢の議員に支援をいただいて本当にありがたく思っている」と語った。さらに「今後とも民主党政権を成功させるため頑張る」と述べたが、自らを「一兵卒」と位置付け、首相と一定の距離を置きつつ次を狙う意図をうかがわせた。

 会合後、小沢氏を支持した党幹部は「これだけ世論の批判があるなかでの200人は相当固い200人だ。首相は挙党態勢を築かなければ、すぐに政権は行き詰まる」とけん制。会合に先立ち、鳩山由紀夫前首相は記者団に「(首相と小沢氏の)2人が握手したので意味するところを私なりに理解したい」と、小沢氏側を何らかの形で処遇するよう暗に求めた。

 だが、表での威勢の良さとは裏腹に、小沢陣営内部には国会議員票敗北へのショックが広がっている。党員・サポーター票と地方議員票の「地方票」で敗れても、国会議員票で上回ることで首相に圧力をかけられるとの戦略が崩れたからだ。事前に「国会議員票は30人は勝っている」と見ていた小沢陣営の幹部は「数字が合わない。こっちだと思っていた議員が向こうに入れた」とぼうぜんとした表情で語った。小沢氏周辺が「負けたので(実権がない)代表代行などの役職を打診されても受けるのではないか」と話すなど、政権運営で首相に協力せざるを得ないのではないかとの弱気の見方も出ている。

 小沢氏の求心力にもかげりが生じており、小沢氏が敗北した場合には「民主党を割って出る」とのシナリオも選挙前はささやかれたが、「完敗」を喫したことでその可能性も低くなったとみられる。

 一方、首相にも参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」を打開する具体的な方策が見えているわけではない。小沢氏の陣営幹部は「そのうち内閣が立ちゆかなくなることもある。また小沢氏が登場する機会が出てくるかもしれない」と語る。別の小沢氏の側近議員も「200人の意味は大きい。小沢氏は必ずまた出る」と強調する。いずれ菅政権が行き詰まり辞任に追い込まれ、国会議員票だけで行われる任期途中の代表選となれば、今回の「200人」を基盤に小沢氏の出番があるという見方だ。

 党員・サポーター票も小沢氏は51ポイントしか取れなかったが、得票率は約4割。小沢氏側近議員は「この厳しい世論の中、4割も取れたことは大きい」と語り、大敗ではないとの見方を示した。小沢氏支持の先頭を走った松木謙公衆院議員は「小沢一郎という政治家が死んだわけじゃありません」と再起を誓った。ただ、仮に検察審査会が起訴議決を出し強制起訴という事態になれば、議員も世論も離反しかねない。小沢氏には「政治とカネ」の問題が重くのしかかっている。【須藤孝】

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