2010年9月14日 19時42分 更新:9月14日 23時42分
全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が09年度、過去最多の6万913件(前年度比2.2%増)に上ったことが14日、「問題行動」に関する文部科学省の調査で分かった。小学校は前年度比9.7%増と最も大きな伸びを示し、小中ともに過去最多となり、暴力行為の低年齢化傾向がみられた。国私立も調査対象に加えた06年度から3年連続の増加となっている。
調査は、国公私立の小中高3万8389校を対象に実施した。
小学校の暴力行為は7115件。加害児童数は前年度比12.4%増の6814人で、06年度の学年別加害児童数と比べると、各学年とも約2倍近くになった。中学校の暴力行為は4万3715件(同2.2%増)。高校は1万83件(同2.9%減)だった。暴力行為が校内で起きた学校は全体の23.7%(同1.1ポイント増)だった。
発生状況別にみると、生徒間暴力が3万4277件(同5.6%増)で過半数を占めた。対教師暴力が8304件(同2.3%増)、見知らぬ人らへの暴力が1728件(同0.2%増)と人への暴力は増加し、器物損壊は1万6604件(同4.2%減)に減少した。前年度から調査を始めた被害者が病院で治療を受けたケースは4件に1件の割合で、1万1708件(同9.8%増)に上った。
暴力行為が増えた理由について、文科省は(1)感情のコントロールができない(2)コミュニケーション能力の不足(3)規範意識の欠如--などを挙げた。さらに「十数年前は集団で連携して暴力を振るうことが多かったが、最近は1人で行う傾向が表れている」と分析した。
いじめについては、特別支援学校を含む計3万9942校を調べた。認知件数は7万2778件(同14%減)で小中高のすべてで減少。このうちインターネットが関係した「ネットいじめ」は、3170件(同30%減)だった。しかし、文科省は「技術の進歩で見つけにくくなっている面もある」と引き続き注視する方針。また、いじめの早期発見に向けて、全学校で児童生徒にいじめについて尋ねるアンケートを実施するよう求める通知を初めて出した。
自殺した児童生徒は前年度より29人増え、中高生165人。小学生はゼロ。いじめが原因とされたのは2人だった。【本橋和夫】