2010年11月8日21時50分
ニューデリーで8日、共同記者会見に臨むオバマ大統領とシン首相=ロイター
【ニューデリー=村山祐介、武石英史郎】訪印中のオバマ米大統領は8日、当地でインドのシン首相と首脳会談し、国連安全保障理事会の改革を巡り、インドの常任理事国入りが必要との考えで一致した。米印間の貿易拡大や東アジア情勢の対話強化でも合意。台頭する中国を念頭に、米印の結束をアピールした。
オバマ氏は同日夜のインド議会での演説で「インドが常任理事国になることを含む国連安保理の改革を待ち望んでいる」と表明。それに先立つ記者会見では「国連を含む国際機関は21世紀の現実を反映する必要がある」と語った。
米国が、日本以外の特定国の常任理事国入りの支持を明言するのは初めて。米政府高官はインド支持の理由について、新興国として国際的な影響力を増していることや、民主主義国であることなどを指摘。安保理改革の全体像については言及せず、インドに拒否権を認めるかについては「今後議論する必要がある」と述べるにとどめた。
両首脳はこのほか、規制緩和を通じて米印間の貿易、投資を促進する考えで一致。米国は、1998年のインドの核実験後に科してきた軍民両用技術についての対印輸出規制を緩和することや、原子力技術の輸出を管理する「原子力供給国グループ」(NSG)へのインドの正式参加への支持も表明した。
オバマ氏は訪印初日の6日には、総額95億ドル(約7700億円)規模の対印輸出契約を発表。オバマ氏は今回の訪印を通じて、「米印関係がかつてないほど強く、深く、広がりを持つことになるのは明らかだ」と強調した。
オバマ政権は昨年1月の発足直後から、中国との関係構築を重視。インド側には「米中二極構造を目指しているのではないか」と懐疑的な見方がくすぶり続けた。だが、中国が経済力と軍事力を武器に東アジアでの影響力拡大を図る中、米国はインドを「民主主義国として価値観を共有するパートナー」(オバマ氏)として重視。経済面でも、急成長するインド市場が輸出拡大による国内雇用増に不可欠だった事情もある。