多剤耐性菌:アシネトバクター 過去3年で感染拡大

2010年9月10日 23時40分

 ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌アシネトバクターが09年度、全国49の医療機関で計97人から検出されていたことが、厚生労働省研究班(主任研究者、荒川宜親・国立感染症研究所細菌第2部長)の調査で分かった。荒川部長は「多剤耐性のアシネトバクターが国内でも広く薄く出現していることを認識し、医療機関などの関係者は院内感染対策を徹底すべきだ」と話している。

 調査は3月、全国の200床以上の全医療機関約2700カ所に調査用紙を送って実施。4月末までに回答のあった771施設(回答率28.4%)の状況をまとめた。

 09年度までの3年間の検出状況を聞いたところ、同菌が検出された医療機関数と患者数は▽07年度は39施設(5.1%)51人▽08年度は37施設(4.8%)81人▽09年度は49施設(6.4%)97人--で、検出された患者数は年々増加。3年間で計92施設(11.9%)で検出されていた。

 3年間に菌が検出された検体の種類別では、痰(たん)が67%で最も多く、尿9.9%▽血液5.6%▽便3.9%▽その他13.5%--だった。

 院内感染が広がっていない点について、荒川部長は「菌株を検査しておらず詳細は分からない」としながらも、「現在問題になっている耐性度の高い菌に比べ、日本土着のおとなしい株の可能性がある。施設も感染防止対策を十分に行っていたため広がらなかったとみられるが、警戒を怠ってはならない」と分析している。【佐々木洋】

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