2010年9月10日 15時1分
本州北部沖の海水温が異常に高いと猛暑に、低いと冷夏になりやすいことを、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の研究チームが突き止めた。猛暑だった今年も、5月末~6月上旬には海水温が平年より高い状態が発生していた。チームは「夏の異常気象を2~3カ月前に正確に予報する判断材料になる」としている。米気象学会誌電子版に10日掲載された。【山田大輔】
同機構の中村元隆主任研究員(気候力学)らは、1958~2002年の日本近海の水温データを分析し、夏の異常気象との関係を調べた。
その結果、猛暑の年には6月ごろから三陸沖-北海道東方沖に平年より0.5度以上高い海域が徐々に出現。7月には本州北部から東へ5000~6000キロの帯状の高温海域に成長し、9月ごろまで続くことが分かった。
猛暑の年は、高温海域で暖められた下層大気の影響で、上空の偏西風が北にずれると考えられる。その結果、日本列島に南から暖かく湿った空気が入りやすくなり、気温上昇をもたらすという。冷夏の年は逆に、長い冷水域が出現し、偏西風が南下して北からの冷たい空気を招く。
中村研究員は「日本周辺の偏西風の変化は、北半球全体の偏西風の蛇行に影響を与え、世界的な異常気象に関係している可能性もある。今後詳しく調べたい」と話す。