2010年9月10日 11時42分 更新:9月10日 11時56分
法務省は10日、戸籍上は生存していながら、現住所が分からない100歳以上の人が全国に23万4354人確認されたと発表した。このうち120歳以上は7万7118人、150歳以上も884人いた。戦中・戦後の混乱などで親族が死亡届を出さなかったことなどが主な原因とみられる。同省は120歳以上の戸籍について、現住所不明の場合は市区町村が職権で消除できるとの通知を出した。
戸籍上、生存する「超高齢者」を巡っては、長崎県壱岐市の今年200歳の男性のケースなどが明らかになっている。
調査は法務省が8月27日から各法務局を通じて市区町村に依頼。戸籍が電算化されている全国の約8割の自治体から回答を得た。調査戸籍は約4700万。最多は東京都の2万2877人で、続いて大阪1万8986人▽兵庫1万1016人▽福岡1万1000人▽沖縄1万718人--などの順だった。150歳以上に限ると群馬が184人と最多で、沖縄が103人と続いた。
戸籍には、本人の住所変更の履歴が「付票」として記録されており、住民登録と連動している。23万人は、住民登録された住所地を過去に自治体の職員が調べた際、居住を確認できず登録を抹消したものの、親族が死亡届を出していないため、戸籍そのものは残されたケースとみられる。
法務省民事局によると、背景として戦災被害や戦後の混乱、海外への移民などが想定されるという。職権による戸籍の消除は、行政が戸籍を更新しないことを意味し、民法上は死亡と扱われないため、相続は開始されない。また、人口統計について民事局は「国勢調査に基づいているため、日本の人口が変わることはない」と説明。戸籍の信頼性についても「戦災などの事情で事実とズレが生じたと考えられ、信頼性が損なわれると考えるには飛躍がある」としている。
厚生労働省は先月、住民登録されながら住所地に居住が確認できない100歳以上の高齢者が271人に上っていると発表したが、戸籍上の「超高齢者」は住民登録されていないため、年金の不正受給などにはつながらないとみられる。【石川淳一】