全日空:格安航空参入 別ブランドで運賃半額、来秋にも

2010年9月9日 21時34分

 全日本空輸は9日、香港の投資会社と共同出資で年内に格安航空会社(LCC)を設立し、11年秋をめどに運航を始めると正式発表した。関西国際空港を拠点に「ANA」とは別ブランドで国内外の路線を就航させ、運賃は全日空を含む既存大手の半額~3割安に抑える方針だ。国内航空大手のLCC参入は初めてで、若者ら従来とは異なる顧客層の開拓を狙う。

 LCC新会社の資本金は100億~150億円。全日空が40%程度を出資し筆頭株主となる。パートナーの香港の投資会社「ファーストイースタン投資グループ」は33.3%を出資する予定。このほか、国内の金融機関や商社などにも幅広く出資を募る。

 当初は関西国際空港を拠点に小型機5機を運航、中国など東アジアを中心とする国際線と国内線各3~4路線を展開。機内食などのサービス簡素化や従業員の賃金を抑えることなどで、格安運賃を実現するとしている。全日空本体との顧客の食い合いを避けるため、LCCはなるべく重複しない路線で運航する予定だ。

 LCCは米欧で伸長し、アジアでも急成長しているため、全日空は08年、LCCの研究拠点を香港に置き参入の可能性を探ってきた。日本でも07年以降、アジアのLCCが相次いで進出しており、価格面で競争できる新会社で対抗する。

 全日空は、LCC参入で中国などの旺盛な訪日需要が取り込めるとみており、5年程度で路線数を3~4倍に拡大したい考えだ。全日空のLCC参入で航空運賃値下げ競争が加速するのは必至で、会社更生手続き中の日本航空の再建への影響も予想される。【赤間清広】

 【ことば】格安航空会社(LCC)

 人件費や販売経費などを抑えて格安運賃を設定する航空会社で、LCC(ロー・コスト・キャリアー)と略称される。中短距離の運航が中心で、機内食を有料にするなどサービスを簡素化したり、航空券を代理店を介さず、直接販売することなどでコスト削減を追求している。米欧で運賃や路線の自由化が進んだのを背景に、80~90年代に台頭し、現在では提供座席ベースで世界シェア2割超を占める。LCC最大手の米サウスウエスト航空は09年、輸送人員数で米アメリカン航空を抑えて世界首位。

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