コラム

2010年10月27日号

【鷲見一雄がずばり斬る】
小沢一郎氏の起訴議決取り消しめぐる特別抗告


●asahi.com配信記事
 asahi.comは26日、「小沢氏側、最高裁に特別抗告へ 起訴議決取り消しめぐり」という見出しで次の記事を配信した。
 小沢一郎・民主党元代表が東京第五検察審査会の「起訴議決」取り消しなどを求めた行政訴訟で、小沢氏側は、判決前の議決の効力停止などの請求を退けた東京高裁の決定を不服として、近く最高裁に特別抗告する方針を固めた。

 当初の申し立てでは、小沢氏の起訴、公判を担当する「検察官役」の指定弁護士を選ぶ手続きの仮の差し止めも求めていたが、高裁の棄却決定と同じ22日に東京地裁が指定弁護士を正式に選んだ。このため、小沢氏側は特別抗告では申し立ての内容の一部を修正するという。

 小沢氏側は、「告発事実にはなかった内容まで含めた起訴議決は無効だ」として、議決の取り消しを求めて提訴。同時に、正式な裁判の確定を待っていては人権侵害が生じるとして、手続きの仮の差し止めなどを求めていた。しかし、地裁と高裁はともに「検察審査会は準司法機関で、議決は行政機関の決定ではない」と門前払いにしていた。

●鷲見一雄がずばり斬る
「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」、憲法32条が保障している国民の権利である。勿論、小沢氏もその権利は保障されている。
 しかし、周知のように小沢氏は先に、民主党代表選に出馬した。
憲法75条に「国務大臣はその在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない」との規定がある。小沢氏は起訴議決となった場合の「訴追同意」を明言した。その狙いは「『訴追逃れ』のために、首相を目指しているという見方を否定する」ためだ。

 小沢氏は菅首相に敗れた。そして検察審査会から「強制起訴すべし」の議決がなされた。すると、行政訴訟、手続きの仮の差し止めなどを求める。仮の差し止めについて1、2審が門前払いすると、今度は特別抗告をする、という。
 あまりに定見がなさすぎる。「民主党最大派閥の領袖として政府・与党内で影響力を持つ権力者」として恥ずかしくないのか。私はこの姿勢に対し訴権の濫用だと批判する。

 また、小沢氏は「何もやましいことはない」と強調する。それなら、証人喚問を受け入れ、堂々と説明義務を果たしたらいいではないか。それもやろうとしない。
 私は小沢氏が国会で「何もやましいことはない」と主張、その理由を述べたら、法は動くと見立てる。
「岡目八目」といって、世間の眼は節穴ではないから、抗告の前に道理をわきまえた小沢氏の周辺者が忠告したら、どうか。


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