男性2人を殺害したなどとして強盗殺人など9罪に問われた住所不定の無職、池田容之(ひろゆき)被告(32)は1日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)の裁判員裁判初公判で「間違いないです」と起訴内容を認めた。検察側は10日の論告で、裁判員裁判で2例目の死刑求刑をする見通し。男女各3人の裁判員は16日の判決で、死刑も視野に量刑判断を迫られることになる。
検察側は冒頭陳述で、東京・歌舞伎町のマージャン店の経営権などを巡り被害者とトラブルになっていた元経営者の近藤剛郎容疑者(26)=強盗殺人容疑などで国際手配=から、池田被告が監禁や殺害を依頼された経緯を説明。09年6月、経営者(当時28歳)と会社員(同36歳)を千葉県のホテルに監禁し、「家族に電話させてほしい」「せめて先に殺してから(首を)切ってください」と懇願する2人の首を、ナイフや電動のこぎりで切り殺害した、と詳述した。
さらに「冷酷、残虐で主導的な役割を果たした。遺族は極刑を望んでいる」と指摘。動機については「自分は人を殺せる人間だとアピールし、覚せい剤密輸組織の信用を得て利権を手に入れようと考えた」と述べた。
一方、弁護側は「死刑求刑もありえる」とした上で、「(密輸事件で逮捕後)自分のしたことを正直に話した。殺害の最終決定は近藤容疑者。死刑判決はためらわれる事情がある」と強調した。
池田被告は午前10時前、丸刈りで、上下とも白っぽいジャージー姿で入廷。検察官が起訴状を読み上げる間、渡されたコピーを持つ手は小さく震えていた。この間、被告の様子をじっと見つめる男性裁判員もいた。
公判は区分審理され、覚せい剤密輸などを審理した前半の部分判決は有罪だった。後半は10日まで計6日間審理し結審、遺族も被害者参加人として独自の求刑をするとみられる。補充裁判員も全国で初めて、法律上の上限の6人(男女各3人)が選ばれた。【中島和哉、山田麻未】
毎日新聞 2010年11月1日 11時05分(最終更新 11月1日 12時51分)